回収【???】
「……ふぅ、30層の守護者には感謝しなくてはですね」
「うむ、まさか力を引き出すだけでなく、意識をも奪ってくれるとは……」
「しっかし酷いやけど……治る?」
「完璧には無理ね、でも、跡が残るぐらいまでなら治せると思う……さ、持っていくよ」
白髪に赤い目の男に触れ、転移する。
「ただいま戻りました、マスター」
「おぉ、おかえり我が愛しの子供たちよ」
私たちの父であるマスターが私たちを迎えてくれる。
「No7110は無事そうだな」
「はい、このとおり」
「体も随分と成長した……うん、これなら十分に使える」
『運べ』そう彼が目で指示をした。
「はっ」
彼は、私達の兄とでも言うべきか?
血の繋がりはない……が、原点にして頂点、マスターの初めての成功作。
「……やっぱり違うものなの?」
マスターが部屋に籠ったのを見届け、2人と話をする。
今はさっきの感想を聞かれている。
「うん、全然違ったわ、格?それとも生物としての超越度が違うのかな?
『変異種』後にも先にもあの人だけが特別な者」
「……羨ましいのか?」
「いや、ただ不安なだけ……私じゃ止められる気がしないから」
「あ、そうか……互いに逆の存在として造られたからね」
「そうそう、それでもさ、あれのせいでさ私じゃもしかしたら太刀打ちできないかもなの」
「……ありえん事ではない
30層の守護者との戦いを見たが……まだ、あの時の方が強かったはず
それに、何よりもあれではまだまだ本調子ではないだろう……やはり、底知れない」
確かにその通りだ。
「……やっぱりマスターは彼の方が大切なのかな?」
「……まぁ、私達よりも彼の方が凄いからね、それにあの時のあの言葉は今でも覚えてるよ……」
『なら……俺が代わりに!』
「あぁ、アレね、耳を疑ったわ」
「……意志の違い……それが奴の進化の秘密?」
「まぁね、そうなんじゃないかな?程度の話だけどね」
「……おぉい!子供たちよ!私はやる事やったから今日はもう寝る!明日からの彼の行動は君たちに委ねる!それでは諸君、おやすみ!」
「「「おやすみなさい、マスター」」」
皆声を合わせ、挨拶をした。
明日からは『兄』と共に私達の『仕事』を行うとしましょうか。




