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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、どんな者にでも手を差し伸べる優しいものだ
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限界を超えて【マイン】

「……指輪を……外す?」


「……ぜぇ……はい、そうですよ」


 それに一体なんの意味があるのでしょうか?


「俺も……あなたに見習って、魔法は使えないけど詠唱します」


「……」


「『我が夢は希望』『我が夢は絶望』『我が未来に光なくとも』『光を求め今日も歩く』〈幸せな夢(ハッピーナイトメア)〉」


 ふむ、だからといって何かが起こる訳ではありません……が


「……なかなか好きですよ」


「ありがとうございます、そして、さようなら」


 指輪外し、ポケットの中に詰めた。


 そして、雰囲気が変わった。


 何かを見るように目をさまよわせている


「……何が見えたのです?」


「ぶ、文がいっぱい」


「あぁ、其れは『ウィンドウ』なんて呼ばれ方をするものでしょう

急激な体の成長を文字にして神様が伝えてくれるのですよ」


「……へぇ……っ!?」


「!どうしました?」


 頭を抑えだした……?

急激な体の成長の結果起こったことだろうか?


「……ァあ……《限界突破(リミットブレイク)》」


 そう呟いた瞬間、見てわかる、変わった。


「……貴方は……何者なんですか……」


 黒かった髪は雪のように真っ白に、赤い目は縦長になりまるで、蛇のようだ。


「……あぁ……あ……《闇魔法》〈ナイトニードル〉」


「魔法……!」


 精度はあまり高くはないが、魔法だ……使えないはずの魔法を使っている。


「あ?……アァ?」


 剣を抜く……大剣だ。


「あれは……『箱舟の破壊剣(ノア・ブレイカー)』?」


 彼の剣を持っていましたか、ですが、あの重い剣をあんなにも軽々ともちあげるとは……息も絶え絶えだったのに……!

 

 しかも厄介なことに二刀流ですか……!


「あぁ!《白魔法》『ホーリーブレード』」


「光の剣ですか……いや、それよりもまた、魔法」


 避けて……突きを放ちカウンターを狙った……が


「……あぁ?……」


「………へ?」


 体がありえない曲がり方をした。

確かに避けられない一撃だ、確かに刺さったはずだ……が、スライムを彷彿とさせる軟体動物のような体の曲げ方だ。


「骨が……いやどうなってるの?」


「……あぁ!ァァァァア!」


「……重っ!?っぐ!」


 『箱舟の破壊剣』を振り付けてくる。

凄まじく思い一撃だ。


「……あぁ……ああァ!」


 最早ひとつの言葉しか話せていないが、狂気を感じる。


「……貴方はやはり強い」


 が、私の方が1枚上手です。


「《心象詠唱》『崩れ落ちるは太陽の外壁』『剥がれ落ちるは氷山の一角』『千切れ別れるは星の外壁』〈世界のパズル(ワールドピース)〉」


「あぁ?」


 私はこの魔法を使って後ろへ大きく引く。


 追いかけようと1歩を踏み出したその瞬間、燃えた。


「あぁっ!?ヅァア!」


 獣のような唸り声を上げななら燃え盛る。

そのピースは太陽のピースでしたね。


「……嘘……」


 だが、次第にその火は消えた。

そして、その火の中の彼は全くの無傷だ。


「……はははっ、すごい……なんで?わからない、あぁ!でも勝ちたいわ!」


「……あぁ……あ……アン……」


「……アン……?誰の事ですか?」


「『アン』?……アン!!」


「ちょっ!?……いや、こうなったあなたはもう殺してあげることが1番かもしれませんね……!」


 自分で誰かの名前を呼んでも誰かわからないなんてなんて可哀想なんだろう。


「《心象詠唱》『世界の始まりは小さな火種』『世界の始まりは1粒の水滴』『世界の始まりはほんの少しの土』『世界の始まりは爽やかなそよ風』『世界の始まりは言葉の始まり』〈原点魔法(ザ・ワン)〉」


 今の私の持つ最強の魔法で沈める。


「《世界の水滴(レイニー)》」


 激しい豪雨……体に、何度も何度も殴られるような鈍い衝撃が響くはず。


「……あぁ!オレワァ!!マケラレン!!」


「……理性なんてもうないのですね」


「オワラセル……オワラセルゥ!」


「いいでしょう、私も終わりにしましょう

《心象詠唱》『世界の始まりは小さな火種』『その火種は世界を照らし』『その光は世界を包む』〈原点魔法〉《始まりと終わりの火(フレイム)》!」


 あぁ、やはりこの魔法は魔力がごっそり消える。


 が、太陽に勝るとも劣らない素晴らしい魔法だ。


「……タイヨウ……?……フハハ!タイヨウゥヴ!」


「んなっ!?」


 『突っ込んできた』!?


 この炎を見たのならせめて怖気付くぐらい……あぁ!もうその感情もないのですね!


「……ですが!あなたと言えど当たれば確かな致命傷よ!」


 体が焼かれてもなお、前に進み、そして、お互いの剣が交差した。


「……ぐ、かはっ……!その火傷で……なんでそん……なに……!」


 私だけが貫かれた。


「……あぁ……オレの……カチ?かちだ……」


 私の未練は……まだ、解消されてないはずなのに……あぁ、走馬灯?それとも本当に貴方が迎えに来てくれたのですか?


『ごめんな、マイン……さ、行こう』


「はい……クロン……さん……!」


 会えた……会えた!


 その事実が体の中を突き抜けると共に体が光り、崩れ落ちる。


「……あ……あ?」


「ははっ、さようならカルカトス君」

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