第5章 暗い森と2人の魔族
「……今度は……なんだ?」
「真っ黒の森?」
その通りだと思う、地面は黒く、木も黒く木の葉も黒い。
目がおかしくなりそうだ。
「わー!人だわ!ニーナ!」
「あら、本当ねニータ、初めまして」
「ま、魔族……!?」
「その通り!私たちはこの森に住んでる魔族でーす」
「この先に行きたかったら、私たちのだす問題に答えてね」
「は?」
「それじゃー!始めるよー?」
「ちなみに間違えたら1人殺すからねー」
「な、なんだよそれ!?」
「じゃ、だいいちもーん!」
ニーナと言う魔族が嬉しそうに始めた。
「現実、迷路、今、にはあって」
「夢、行き止まり、昔、にないものって「なーんだ?」」
どういう事だろうか?このまま答えればこの森の先へ行けるのか?
「あるないの問題ですか……うーん……」
「続きだろ…………」
バチャンと嫌な音が後ろで響き、叫び声が聞こえる……振り向くと潰された男だったものがいた。
「ぶっぶー!不正解!」
「これぐらいわかってくれないとね〜」
「でも、ある意味惜しいかも!?」
「む?そうかなー?」
「え?ニーナは違うと思うの?」
微妙に近いらしい。
現実、迷路、今……夢、行き止まり、昔
「……終わり……」
ファーヅさんがそういった
「!せいかーい!現実や、迷路、今はいずれ終わっちゃうよねー」
「夢はおわらない!行き止まりに続きはない!昔は終わる終わらない以前の問題!
よくわかったね〜、それじゃ、第2問」
「は!?2問目があるなんて聞いてねぇぞ!?」
「えー?私言ったじゃん『だいいちもーん!』って、それに1問だけで満足出来ないよー!」
「ふざけんなっ!」
「まてっ!……!?」
何人か血気盛んなものが飛びかかる……止めることは叶わなかった、私の足に、何かが絡みつき、ニータがこういった。
「冷静な人は動かせませんから」
その瞬間飛びかかった者は皆切り裂かれた。
「っ……!!」
強い、勝てない、問題に答え、そして、彼女達の言った通りにしよう。
「ふふふっ、それじゃ、第2問目……声を出しては行けないよ」
「静かにしてると出れないよ」
「「さぁ、この問題を超えてご覧!」」
足に絡まっていた何かが無くなった。
歩いて外を目指せということか?
「さぁ、1人挙手をして!その人だけがこの先へ進めるから!」
「……」
私がすぐに手を挙げた
「!……へぇ?チャレンジする?」
こくりと頷く。
「勇敢だね!」
「無謀かも?」
「少しはわかってるみたいだけどね」
静かに、音を鳴らしながらこの森へ出る、そして、喋ることは恐らくアウトだ。
だが、この問題、少し屁理屈じみている。
そういうのは得意だ。
静かにしていては行けないが『声を』出しては行けない。
なら、声以外の何かを鳴らせばいい、簡単だ。
「道は私が教えるよー」
ニーナが私の少し先を行く。
「……はい、ここだよ」
絶句した、いや、元々黙っていたが……声を出さなければいけない……?
石版にある文字、魔力をわずかに感じる扉、そしてご丁寧に記された開け方。
この文を詠唱し、そして、この扉を開き、先へ行く。
「……さぁ、どうする?」
飛ぼうかと思ったが……この森はそれを許してくれ無さそうだ。
「もうわかってると思うけど、声を出したら死ぬよ、でも黙ってたら一生出れないから結果死ぬ、どうやってあなたは出るの?」
『暗き森の戸』『閉ざされし世界』『世界の夜明け』〈扉は今開かれる〉
その文を読み上げる、それは死を意味する。
しくじった、せいぜい足音とかでリズムを取ればこれを越えられると思っていた……声を声以外で出す方法?無詠唱なんて高度なことは出来ない。
「『暗き森の戸』」
私は詠唱を始めた。




