第3章 砂漠の骸
「……それじゃ、半数はここに残って、残りの半数で先へ進む……それでいいな?」
「はい!」
昨夜、皆で決めたことだ、怪我をした人たちを連れていく訳にも行かない、ならここで待っていてもらおう。
護衛に半分の人数をつぎ込み、我々は半分の数で先へすすむ。
ザッザッと足音だけが響く。
昨日の1件もあり、皆、表情が暗く口数が少なくなっていた。
「……っくそっ、アタシがもっと自信を持って発言できていたら……」
「ウォールさん、あなたが気に病むことは無い、アレは判断ミスなんかじゃない、大丈夫だ」
私にできることはメンタルケア程度だ。
いや、ケアできているのだろうか?
「……そうか、ありがとうクライン」
「……いえ、あなたの感を信じてますよ」
そういうと、少し笑ってくれた。
気は軽くなった様で何よりだ。
「……はぁ……ここ、何も無いな」
「だな、暑いし……さっさとこの砂漠をぬけたいな」
なんて話をしていると……前方から砂が盛り上がるのが見えた。
「……な、なんだ?あれは」
アーサーが目を見開き、そういった。
「私も聞きたいぐらいだよ」
その盛り上がった砂はほとんどが地面に落ち、砂埃を上げた。
砂埃が晴れた頃、我々の目の前に見えたのは……骨だった。
心臓の辺りに紫に光る大きな石があることを除けば。
「ほ、骨……?」
形は間違いなく竜だが……明らかにもう死んでいる。
なぜ、動いたのか?その答えを探していると、答え合わせと言わんばかりに「カラカラカラ」と骨が動き出した。
「……生きている……?」
「アンデッドの様なものだろう……どうする?戦うか?」
「……あいつの弱点はなんだろうか?」
「……まぁ、見るからにわかるよな」
「「「「あの石」」」」
「……我々全員であの竜を討伐しようか」
「あぁ、賛成だ……他のものは?それでいいか!?」
異論はなかった。
我々半数ではあるが50を優に超える頭数。
進撃、そして竜へ斬りかかった。
彼の反撃は我々団体には手厳しいもので、広範囲高威力の攻撃は一撃で何人も屠った。
我々のこの戦いでの犠牲はかなりのものだ……何人失ったかは詳しくは示さないが、かなりの損傷だった。
「……や、やっと……やっと終わったぞ!我々の勝利だ!」
歓声のような雄叫びのような声が夜になった砂漠に響き渡った。
ついに、我々が勝利した、もう逃げるのはやめだ、向き合い、そしてその上で勝利しよう。
きっと我々なら行ける、この大陸の遥か彼方へも。




