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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、どんな者にでも手を差し伸べる優しいものだ
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第2章 新天地 美しき湖

「……というわけだ!説明は以上!各々配置につき、早速行くぞ!」


 説明の内容は5人一小隊として組を作り、最前線、中腹、最後尾は6人一小隊のいわゆる『2つ名持ち』のみで構成された6人パーティーを組むのだ。


 計31のパーティーを各々船の上で組んでいたのだ。


 ちなみに私は最前線のパーティーの1人だ。


「っしゃい!いっちばーん!!」


 誰よりも早く船から飛び降り、東の大陸への第1歩を踏んだのは、私と同じパーティーの女戦士『怪力女のウォール ペイン』筋肉質な体で褐色の肌に赤くて長い髪と、同色の目、元気のいい女性だ。


「元気が良くて結構だよ」


 ガシャンと鎧の音を鳴らしながら地面に飛び降りたのはリーダーの聖騎士長であるアーサー、2つ名は『騎士王』

太陽に反射し、眩しいほどに輝く金の髪、青空のような碧眼の男だ。


「なら、私も行くとしますかっ!」


 短い茶色の髪を揺らしながら我がパーティーの女拳士の『俊撃のマロン ワーズ』が、空中でくるりと回りながら着地する。


「……騒がしいな」


 そう隣のローブを着けた男がつぶやく。


「私も同感ですが、静かなのよりはマシです」


 そう返しながら同時に私たちは地面に降り立った。


 2人とも音を立てずに地面に降り立つ……この男やはり()()()な。


 その思いは目が合った彼にも伝わったらしく、少しばかりライバル視してしまう。


 この男は弓使いの『神速のファーヅ グラッゾ』エルフであり、弓の名手……だが、私はそれよりも彼の体の使い方に高い評価をしている。


 さて、これで5人、あと一人は……


「きゃっ、高い……く、クラインさーん!キャッチして貰えますか!?」


 魔法使いの彼女『夢見のミスト スリンプ』薄く、白っぽい桃色の髪と緑色の目の少女だ。

その名の通り夢見がちな彼女だが、どうも私を気に入っているようだ……まぁ、パーティー最年長であるからだろうな。


「いいよ……おいで」


 両手を広げ、彼女を迎え入れる準備をする。


 彼女なら余裕で降りられる高さであるはずだが……まぁ、少女にそんなことを言うのも野暮というものだ。


「っ!すーっ、ほっ!」


 呼吸を整えてぴょーんと飛び降りる。


 足は横に向け、腰をいちばん低い位置に持ってきている。


 キャッチしなければ、腰を強打するだろう。


 渋々キャッチする。


「わっ、ふふっ、ありがとうございます、クラインさん」


 フワリと花のようないい香りと、目を合わせた彼女が可愛らしい笑顔を見せる。


「あぁ、それじゃ行こうか、アーサー」


「あぁ、みんなも続々と降りてくれよ」


 そう言って全員が降りて、我々も進んでいく。



「おぉ……綺麗……綺麗だな」


 いま、私は斥候として一足先に森をぬけた先を確認している。


 それを目に焼き付け、そして、みんなに伝える。


「お、戻ってきたか、どうだった?」


 アーサーが食い気味にそう聞いてくる。


「湖だ、それと湿地帯のようだよ、ものすごく綺麗な場所だった」


「!湖か……よし、この人数でも休めそうか?」


「あぁ、湖は基本的に浅く、色の濃淡が急に深い色になっていることから高低差がかなり急なものだと思われる

あと、浅瀬の近くに島?というか陸地がある、そこならこの人数でも十二分に休める、この先何があるか分からないからな、野営をするならあそこを私は進めよう」


 帰ってくるまでに組み上げた文をそのまま読み上げ、アーサーに伝える。


「水は綺麗か?」


「見たところは綺麗だ、何があるか分からないが、素人目でいいのなら綺麗だと言えるな

出来れば皆に水筒にでも入れて見せたかったが……あいにく中身を無駄には出来ないからね」


「ふむ……よし、今日はそこで少しばかり休むとしようか」


「あんた、やっぱり只者じゃないんだな……」


 ファーヅが隣にやってきてそう呟く。


「!あなたにそうやって評価されるのは私としても嬉しいですよ」


「?何故だ?」


「私もあなたを高く評価していますからね」


「……くくっ、そうか、そうなら俺も嬉しいさ」


 少し彼との距離が縮まった気がする。


 私の説明は皆にわかりやすいと評判が良かった。


 その日はその湖のほとりで野営となった。

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