困り事
「……さて、俺もだいぶ強くなった……もうそろそろ、森を出ようか?」
ぼーっと、星を眺めながら、誰に言うでもなく……強いて言うなら自分に質問をすると、1人の少女が声をかけてくる。
「か、カル君ー?」
「ん?あ、スイか、どうしたの?」
そうそう、俺が修行を始めてから、皆もやる気を出して、今や立派な精霊だ。
体格は子供ほどのものとなった。
手のひらサイズの頃が懐かしいな。
「この森……出るの?」
「……まぁ、夢のこともあるからね」
「……まだ、多分リョク君も言ってないと思うから言うね?
私たち精霊って言うのはね、一応見ることが出来るのは聞いたことあるよね?」
「アルトリートさんが言ってたね」
「もう説明してたんだ……子精霊が目に見えないのは単純に微小な魔力の塊だから、目には見えなくても、魔力感知に優れている人なら感じることは出来る」
「うんうん」
「精霊は子精霊よりかは力があるから、魔力感知に優れている人なら光の玉程度に見ることは出来る
そして、大精霊以上は人が見ることができるんだ、そのままの形で」
「たしか、自分の体を形成する魔力が、自分で生み出せる……魔力機関?の成長が理由でその姿を維持できるんだよね?」
「うん、よく覚えてるね
私たちはまだ『精霊』つまり、自分の体を維持することは出来ないんだ」
「……?ならどうして体を維持できてるの?」
「この森にいるから、だね
私たちがアルトリート様を慕っているのは単に位の高さだけじゃないの
アルトリート様は、この森一体に薄ーくだけど、私たちが体を維持するのに必要な魔力を補助してくれてるの」
「……そんなことが……他の人の魔力でも代用はできるの?例えば……俺とか」
「普通の人なら、無理だね
でも、カル君は、精霊が見えて、言葉がわかって……あと、魔力量は他の人よりもずば抜けて多いね」
「……魔法はいくら頑張っても使えないけどね
だからかな?その魔力を皆の体の維持に使えないかな?」
「嬉しい提案だけど……私たちの1人しか無理じゃないかな?
大精霊になって初めて一人前の私たちでも、それでも魔力はかなり必要とするんだよ
だから、連れて行けるのは誰か一人だけになるね」
「……ローテーション形式で行く?」
「……まぁ、それもいいんじゃないのかな?」
「なら、明日皆に提案してみるよ、ありがとうね、スイ」
「うん!どういたしましてっ!」