迷宮探索報告?【???】
「……それで?どうだい?『No.7110』は、君がみて、君の思ったことを聞きたいんだよ」
無機質な音声が、私に報告を促す。
「予想以上の速度で成長をしているかと、私の『安全装置』を外すことを視野に入れることを強く奨めます」
「なるほど、奴の『安全装置』は君のよりもグレードが上だよ?」
私よりも、彼の方が拘束がきついはずなのになぜ劣るのか、と聞きたいのだろう。
「えぇ、現段階では、私の方が劣りますが……まさかあなたともあろうお方がお忘れですか?私は……」
「あぁ、言わずともわかっているさ、なんせ君を『創った』のは、この僕だからね」
「……でしたら、そのような心配はいらないでしょう?違いますか?」
「まぁ、そうかもしれないが、僕とて、奴の力の底はまだまだ未知数だよ
だから、1度封印を行ったが……まさか逃げられるとは思わなかったよ……はは」
「10年前のあの忌まわしい事件ですか……あれは、今思い返しても、どうしようもないかと」
「あぁ、それに関しては僕も同意だ、自信過剰や過剰評価ではない、あの時点ではあの対策が最も賢い」
「それで?いつ、私は『7110』と戦うのでしょう?」
「言っただろう?君は今やただの冒険者、僕には定期的に情報を送ってくれ、君にはもう『安全装置』の外し方を教えたはずだ、それを実行することができるよう、調整もした」
「……かしこまりました、では、私の目標も変わっていないと?」
「あぁ『No.7110の捕獲』だ、依然変わりなく、ことは進めてくれ」
「仰せのままに」
「……どうだでしたか?」
「命令は変わりなく、判断は我々で行え、との事だ……」
「……かしこまりました」
「御意」
「しかし、どのようにして『捕獲』するか……」
「……私も、それに関してはまだ攻めあぐねている感じですね」
「……確かに、何とも難儀なものだ」
「……はぁ、私達、これでも最高傑作の三体なんだけどね」
「……ずば抜けた1位がいたのだ、致し方ない」
「成績は常に1位、成長の余地も、1位……だから、彼だけがあの手術を受けることを、許可されたの?」
私の仲間がそう、こちらを向き質問する。
「いいえ?彼はただの副産物に過ぎないわ、本来なら次代の『マスター』として、我々の上司となっていたでしょうね」
「……なら、どうしてその人材を、あんな実験に?私達目でもわかる、あれは、絶対に失敗するもの」
「マスターはそういうチャレンジが好きなのよ、今回は失敗……かしらね?」
「……我々3人で勝てるだろうか?」
「早い内に仕留めるのもダメ……本来の性能まで戻した後に捕獲……だものね」
「……荷が重い」
「……やるしかなかろうて」
「そうね」
正体は、わかる人ならわかったかもですね。




