寝坊したから今日は休み
「ん……っは!ここはっ……ラジアンの部屋か」
辺りを見回すと、すぐ目の前にラジアンが眠っていた。
「んゆー……んむ?カルカトス……?リベンジしに来たの?」
「寝ぼけてるな……ほら、起きろ起きろ」
頭に軽くチョップを当てる。
「えへへー、やめてよー」
その手を取られ、開いていた掌を頭に載せようとラジアンが誘導する。
「……あ、そういえば、ラジアンって実は甘えん坊なんですよ」
「魔王様……見てたんですか」
ドアの縁から顔をひょっこりと出し、そう付け足す黒い髪に赤い目、俺の今や上司なのだろうか?
「えぇ、目覚めた様ですのでね
もっとも、彼女はまだまだ夢心地のようですね」
その後、俺の後ろに視線が動き、和やかな顔で笑う。
「頭、撫でてあげてやって下さい、きっと喜びますよ」
「は、はい……よしよーし……なんて感じでいいですかね?」
「ふふっ、彼女を見たら分かりますよ」
「ふへへ……くすぐったいよぉ……ふふっ」
「……お気に召した様子ですよ」
「よ、よかった……」
なんで話していると、右手を引っ張られ、その上に、柔らかくて暖かい何かがのしかかる。
「……えへへ……良い……これ」
俺の右手に頬を乗せ、また目が細くなる。
「随分と気に入られてますね」
「そうみたいです……なんか嬉しいですね」
「そうですか、ラジアンが聞いたら喜びますよ」
「ふふっ、嬉しいものですね」
「所であなた……精霊と仲がよろしいようで……ステータスにも、そう書かれてましたね」
「あ、はいそうですね、一応俺は精霊の言葉が分かるのです」
「それは凄いことです、それに、あなたはLvが高いとは言えませんが、弱者には見えません……不思議な事です、一重にあなたの力と言えるでしょう」
身に纏う空気感も、俺の実力と言いたいのだろう。
「そうですか?ありがとうございます」
「ふふっ、ラジアンが惹き付けられたのはそういうところにあるんですよ、彼女、根っからの戦闘狂ですから」
「ははっ、それその通りだと思います」
「……んー?なんか失礼!おはよ、2人とも」
彼女のことを話題に出していると、ガバッと起き上がり、そう言った
「狸寝入りですか?ラジアン……おはようございます」
「おはよ、ラジアン」
「狸寝入りじゃないよー!なーんか失礼な言葉が聞こえた気が来たから起きたんだよー」
ラジアンはどこか『子供のようにあどけない』時もあれば『全てを察したかのように話す』こともある、メリハリというか、スイッチの切り替えが上手い。
「そっか、なら、今からどうする?ご飯食べに行く?」
「あ!なら、魔界について紹介するよ!いいでしょ?魔王ちゃん!」
「えぇ、次代の四天王です、意義などありません、楽しんでいただけたら、幸いですよ」
「なら、ラジアンにエスコートしてもらおうかな?」
そう言いながら仮面をつける。
「任せなさいっ!」
胸を張り、ドンと叩く。
「……俺は前の勝負でかなり力使ったし、必要な時に呼んでー、それまで寝てるからよー」
ライがそう言って眠る。
すごいからこそ、コスパが若干悪いな。
「ほら!おいで!」
差し伸べられた手を取り、魔界へ。
今回のタイトル、きっと誰もが1度は思い願ったのではないでしょうか?




