表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、絶望を切り捨てるものだ
63/499

魔王城へ【ラジアン】

 賭けに勝った!


 なんの脈略もなく、私は心の中でそう、勝利宣言をした。


 本当に、つい昨日のこと


「……今日をもって、我は魔王を辞める」


 そう、初めて聞かされた。

聞くと『前々から言っておれば、貴様らはきっと反対したであろう?』


 魔王をやめて、1魔族として静かに暮らすとのことだ……さながら5000年前の魔王のようだ。


「ら、ラジアンっ!?下っ!下海っ!」


「へ?あ、そうだね」


 私が手を引いて空を飛んでいると、カルカトスがはしゃぎ出した。


「俺、海をこんなふうに見たの初めてだ!」


 あぁ、そうか、私と君は違うもんね。


「たしかに、羽ないもんね」


「そうそう!うわぁ……綺麗だな……!」


 確かに、暗い海に反射する月と星々は美しい……


「言われてみれば確かにね」


 なるほど、気づかないものもあるんだな。



 私はこれでもかなり器用だ。

だから、上手く魔力操作をして、私たちの周りには風は吹き荒れない。


 速度も竜にそう遅れを取りはしないと自負している……この翼は私の自慢の翼なのだ。


 聖国、剣聖の国、共存の国、色んな国を見ることも無く魔王城に到着する。


「みんなー、たっだいまー!」


 声を上げても帰ってくるのは自分の声が反射しただけだ。


「こ、ここが魔王城……?本当に空だね」


「うん、比喩でもなんでもないよ」


 ながーい廊下から、両開きの大きな扉、この先が【王の間】魔王ちゃんがいるところ。


「たっだいまー!魔王ちゃん!」


「あ、おかえりなさい、ラジアン、無事で何よりです」


 ニコリと笑う彼女、背の丈はまだまだ小さく、子供……なんでこんな大役を負わされるのだろうね。


「そちらの方が以前話してた『面白い剣士』ですか?」


「そうそう!どう?魔王ちゃん!いいでしょう?」


 まだ、『絶対に』入っていいとは許可を得ていないが……カノジョもステータスを見ることが出来る、そんな彼女なら二つ返事でOKを出すことだ。


【状態】

 無関心


「……むっ?……っふ、はははっ!そういう事ですか、ラジアン」


「うん、面白いでしょう?何よりも『強い』」


「ちょっと待て、俺はお前に比べれば全然弱いぞ!?」


「カルカトス……さんでよろしいですか?」


「へ?あ、はい」


「そもそも、そこのラジアンと比べることが間違いなんですよ……その子本当に、強いですから」


 そう紹介されては少し調子に乗ってしまう。


「そそっ、私なかなか負けないからね……つい最近黒星つけられたそれ以外は」


 前に負けたのは本当に悔しい……!


「ふむふむ……なるほどなるほど、いいでしょう、あなたを魔王軍四天王が1人に数えることを、魔王『ディブロ クエイサー』が許可します」


「あ、ありがとうございます」


「いやー、大躍進だねー!一昔前の私を思い出すなー」


「あなたは前任の四天王と戦って勝利を収め、四天王となったのでしょう……あ、でも、四天王のあなたを倒したから同じかもしれませんね」


「……そ、そうだね……そういえば他のみんなは?」


「皆さん、各々過ごして居ますよ」


「……そっか、静かになったね」


「えぇ、ですが、これで大手を振って『魔王』を名乗れます」


「それじゃ、カルカトス、疲れたでしょ?おいで、休む場所用意するから

それじゃ、また明日、魔王ちゃん」


「はい、また明日、カルカトスさんも、また明日」


「はい、おやすみなさい」


 おぉ、緊張せずに話せてるね……やはり大物かな?


 そんな彼に面白いことをひとつ教えてあげよう。


「魔王ちゃん、本気出せば私よりも全然強いよ」


「………?へ?」


「魔王だよー?私よりも全然強いんだー」


「……まだあんなに小さいのに……?」


「うん、そうだよ」


「じ、人類の未来が心配だ」


「あぁ、それは大丈夫」


「へ?どうして?」


「また今度教えてあげるよ」

【無関心】


 何かに対する興味を完全に失っている状態。


 理由は不明だが、各々の事情から、この状態異常は発動する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ