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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、絶望を切り捨てるものだ
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魔王軍四天王 再来

「開けてくれる……?」


 窓の外から、そう小さな声で囁くラジアン。

大声をあげられると面倒だし、俺に確認を取るところを見るに……敵意なんかはないのか?


 彼女のその態度に違和感を感じながらも、窓の鍵を開ける……また違和感だ。


「ありがと、いやー、寒い寒い……」


 確かに寒い、もう冬だ、夜風は冷たく身を切る。


「どういたしまして……ライは寝てるよ」


「精霊ちゃんかな?前の子はリョクだったっけ……いやいや違う違う、いつまでも君と世間話をするのもまた面白そうだけど今はそれどころじゃないんだ」


 そう言って手を差し出し、彼女が窓の外からこう言った


「少し、そこの公園で話さないかな?寒いが……私といることを誰かに見られるなら、公園の方が誤魔化しがに効く」


 確かに、同室で話していたら密会……スパイかなにかと勘違いされてもおかしくない。


 場所を変え、公園。

簡単な椅子が向かい合わせになっている簡素なベンチに座り、話をする。


 彼女の手や、鼻、耳は真っ赤っか……相当急いで、中々に時間をかけて俺のところまで来たのだろう……そのうえ、俺を気遣ってか、暖かい室内ではなく冷たい屋外を選んでくれた彼女を見ていると少し負い目を感じた。


「……ローブかすよ」


「ん!?どうしたの!?らしくない」


「寒そうだからな……見てるとこっちまで寒い」


 適当な誤魔化しをして、押し付ける


「……へぇ?ま、寒かったし、ありがたくお借りするよ

……ふふっ、ぬくぬくだ」


「それで?何か、あったのか?」


 さぁ、会話を始めようか。


「……それがね、君を見込んで話すから、よく聞いてね」


 そう前置いて、言葉を続ける


「魔王様が代わった」


 その言葉を聞いた時、初めに思い浮かんだのは『冗談』次に、彼女だからこそわかる情報だと『理解』した。


 そして、思考は次のステップに移る。

彼女相手だ、機嫌を損ねて感情のままに暴れられるだけで、俺どころかネルカートに尋常ではない被害が……止められないことは無いだろうが、何万という命が消える。


 そのプレッシャーを背に、質問をする。


「それを、どうして俺に?」


「!信じるんだ?」


「週間冒険者にも、新聞にも載っていないが、嘘ならわざわざこんな時間にここに来るはずがないからな」


「ま、それもそっか……それで、君にこの話をした理由だけど……君にお願いがあってきたんだ」


「……俺にお願い……?」


 俺に出来ることなんて、彼女なら10倍はこなせるはずだ。


「実は……代わったというのは少し正しくなくてね……代理で滑り込んじゃったんだ」


 小石に躓いたかのようなノリでそう言った。

いや、滑り込むような場所ではないことは魔族の彼女が1番わかっているだろう、だがそんな彼女か『滑り込んじゃった』と表現するのなら、それが一番正しいのだろう。


「どういうこと……?」


「魔王様が辞退してね……あ、元魔王か

それで、娘ちゃんしか血を引いてる人が居なくて……知らない間に押し上げられてたんだ」


「……なるほど……?」


「その魔王様に何人もの四天王とか、配下の人達がついていっちゃって……ははっ、魔界はいまやカラッポさ」


 両手を広げヒラヒラさせ、自虐的に笑うラジアン。


「……まぁ、イマイチ深くはわからなかったが、ある程度は分かった気がするよ」


「よ、よかった……本当に良かった……それじゃ、話を本題に移すよ?」


 そう、また前置きをして、提案をする。


「ウチに、来てくれないかな?」

 いつもの彼女なら、窓を叩きながら


「へいへーい!起きてるかーい!?

ちょっと話しあるからさ、窓開けるねー!」


 と言っていたであろう彼女が今日は大人しい所も、このお話の見どころかもしれませんね

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