デイドリームとカルカトス
「……よ、よろしくお願いします……カルカトスさん!」
「うん、よろしく頼むよ、グリムさん」
槍を構える……剣よりも小手調べに槍から入ろう、慣れたいしね。
「……剣と弓以外にもやっぱり使えるんですね……!」
意外と知られていた。
「あぁ、いい戦いにしようね」
「はい!胸をお借りします!」
白を基調とした綺麗な剣を構える。
「それでは、第2試合開始っ!」
「さぁ!行こうか!」
「行っくぜー!カル!」
ライもやる気だ。
グルグルと槍を回す……元々俺の戦い方のモットーは『見るものを湧かせる』そんな戦い方だ。
剣は見栄えよく受けから始まり、攻守の交代の激しい戦いを。
弓はより素早く、より正確に、その技術を見せつける。
槍は舞をイメージ……グルグルと部族の踊りのように槍を回す。
「ど、どうやってるんですか?それは?」
「かっこいいだろう?だが秘密だ」
「思っていたよりも無邪気ですね」
「そうかい?まぁいいよ【雷槍 轟雷】行くぞ」
槍を思いっきり投擲する。
「初っ端から投げ!?」
子気味いい金属音と、壁に刺さった槍、凄いな受け流したのか。
「ですが!得物は……あ、剣がありましたか」
「これは使わないさ……もう仕組んでいるからね」
壁に刺さった槍には時間差で発動するように魔力を込めている。
『バリッ』と空気を切るような音と共に雷槍が戻ってくる。
「んなっ!?」
「グリムさん、君は目がいいね……順当に戦うとするよ」
深く腰を落とし、普通に構える。
「あれ?普通ですね……いや、それでいいんですけど……私から行きますねっ!」
距離を詰めてくる……まぁまぁ早い、ヘルハウンドには劣るが、決して遅くはない。
槍を横に持ち、受け止める……力も普通だ。
「はっ!」
力ではじき飛ばし、突きを3回お見舞する。
「……はっ!ほっ!やっ!」
その3回を完璧に守られた……守りが上手いな……
距離を大きくとる……次の彼女の手を待ってみようか。
「うーん、やはりお強い……」
「ありがとう、でも、グリムさんも強いよ?」
「そうでしょうか?……あなたは魔法が苦手と聞きました
『光は優しくあなたを照らす』『光は闇をも顕にす』『全てを包み込む時』『光は狂気と化す』」
「まずいっ!?」
彼女は剣士ではない!?魔法剣士だっ!?
現に詠唱によって魔力はどんどんと増し、手に負えない!?
「〈狂気の光〉!」
「せめて相打ちにっ!?」
判断を間違えた……だが、先輩として負けていられない!
「ふぬっ!!」
出来れば後半に見せたかった『槍術』と『体術』の複合を!
槍を動けない彼女に思いっきり蹴りつける。
「っかふっ!?や、槍……!?」
よし、心臓に上手く刺さった!
彼女の体があっという間に光の粒に変わる……それを見届けた瞬間、俺は、観客席に居た。
「……僅かに、カルカトスさんの方が早かったですね
勝者、カルカトス!」
「ま、負けました……嘘でしょまさかあそこから負けるなんて……くぅー!油断した!」
「いや、俺も負けると思ったよ……ははっ、凄い魔法だね」
「ありがとうございます!」
この様子だと、3人共、文句なしで合格だろう……凄い、この時点で俺よりも上の子達だ!
フウボクさんは白兵戦で俺を上回ることだろう。
スノウさんは自力の差。
グリムさんはさっき戦った通りだ。
だがいいものを見れた、味わえた。
後輩が俺にもできるのか……楽しみだな。
【詠唱 2】
詠唱には『〜〜節式』と呼ばれるものが存在する。
例として『フレイム』をベースにする。
無詠唱の『フレイム』は0節式
『敵を焼き焦がせ』〈フレイム〉だと一節
『我が眼前に敵は無し』『塵も残すな』〈フレイム〉は二節
こんな感じで節が多いほど、威力や正確性は増す。




