新人後輩
「……!アリーさん、あの人達って?」
いつもは見ない3人が、俺が初めてここに来た時に座った椅子に座っている。
「あなたの後輩になるかもしれない子達、ですね」
東の島国や、鬼の国シュレンドで一般的な『和服』と、長いカタナ……タチといったか?を腰に差した男。
笠をつけて、下を向いている。
青い竜の少女……もう見間違えない、あれはサクラさんと同じ、竜族だ、竜人じゃない、魔力の質でわかる……なんでこういうのばかりわかるのかな?
最後の一人は……恐ろしい程に美しい女の子。
白銀の髪に深い緑の目……俺の真逆とも言える……
「それでは、試験会場に移りましょうか」
何人かの冒険者が着いてくる。
抽選の結果、青い竜とサムライが戦うようで、彼女は相手を誰か、この中の冒険者から決めるらしい。
反射的に?本能的に?いずれにしても俺は、自分の意思で決めるよりも先に体が手を挙げていた。
「!カルカトスさんですか……いいでしょう、あなたのやる気と、実力に免じて、この子の相手はあなたにしましょう」
「ありがとうございます」
観戦席から舞台へ足を踏み込む。
「あなたが……カルカトスさん!!」
「へ?」
「私!あなたのことちょっと追いかけてたんですよ!
週刊冒険家であなたのことを見て!少しだけ勇気が出たんです!」
「え?俺名前乗ってるの?」
「第10層、守護者討伐に大きく貢献したと聞きました!」
「クロルさん!?」
「き、気づいていなかったのかい?」
「何がですか!?」
観戦席のクロルさん達に大声で問いかける。
「君を見る視線が増えたことにだよ……まぁ、君が大きく関わったことは間違いない、守護者の両足を奪ったのは間違いなく君だからね」
そのクロルさんの付け足した一言にまた大きくざわめく。
「両足を……!私!貴方と戦えることを光栄に思います!」
「お、俺としても、将来有望であろう君たちの闘いを間近で見れて嬉しいよ」
「今日はよろしくお願いしますね!カルカトスさん!」
「あぁ、よろしく……そういえば君の名前は?」
「あ、私の名前は……『グリム デイドリーム』です」
「……なるほど、よろしくね」
手を差し出し、握手をした。




