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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、君だ
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魔王城の秘密【カルカトス】

「ねぇ、知ってる?」


 お酒片手、枝豆片手にラジアンがそう話を始める。


「ん?」


「魔王城の秘密、知ってるー?」


「え、知らん、なんか秘密があるのか?」


「んー……魔王ちゃーん!」


 酔っ払って、なんだか態度の悪い酔っぱらいのようだ。


「ばか、ナルヴァーに悪いだろ」


「……はいー?どうしました?二人とも」


「ぉ、来た……来れるんだ」


「魔王ちゃん!カルに魔王城の秘密を教えてあげて!」


「あぁ、言ってませんてましたね……でも口で説明するのは難しいし……そうですね」


 瞬間

右腕を振り上げ、それを振り下ろす。

バキャッと音がして、そこが削り落ちた。


「明日ここ見に来てください」


 そうとだけ行って、固有スキルでどこかに消える。


 いや、まてまて、ちょっと待てよ、なにやってんのあの人!?

自分の城ぶん殴った!?


「しかも削れてる……オラッ!」


 俺も真似してみたが、殴ったあとが着く程度、あの人どんなパワーしてるんだ?あの無造作なパンチでアレ?


「凄い力だなぁ魔王様」


「魔王ちゃん、魔王にだけ伝わる武術とか剣術収めてるからかなぁ、凄く強いんだよね」


「……そしてあの固有スキルかァ、弱い訳ないか」


「だね、カル、明日楽しみにしておいてね、魔王城の秘密」


「あ、おぉ」


 その日は眠って、月の日の朝、そこに行く。


「あれ?直ってる?」


 誰が修理したか分からないが……削られた所が戻っている。


「あ、もう見ましたか、はい、魔王城復活です」


「?誰が直したとかじゃなくて?」


「えぇ、復活!魔王城は1つの生き物のようなものですね、壊れても自分の再生能力で復活するんですよ、その昔、五千年前は崩壊までしたというのに、今はまた勝手に城が建ってますからね」


「えぇ、崩壊しても勝手に生えてくるんですか?」


 凄いな、魔王城


「ただ、王の間の大きな大きなステンドグラス分かります?」


「あぁ、もちろんです、あの大きな大きなステンドグラスですね」


 あれは綺麗だったなぁ


「魔王城が負った傷の中で、唯一癒えていないものがあれですね一万年前、ココア一行のトドメの一撃」


「……あ、その大穴にはめ込んだわけですか、ステンドグラス」


「ええ、そうらしいですよ。

一度はめ込んだら、それごと復活するんですよね。

だから、数代前の魔王はそれが面白くっていつもガラスを突破って外に出てたらしいですよ」


「めちゃくちゃヤンチャなんだなぁ」


「昔の魔王はめちゃくちゃな人たちばかりでしたからね」


「魔王様も人のこと言えませんよ」


「えっ……?」


「え?」


 まさかこの人自分のイカレ具合に気がついてない感じ?


「……ま、まぁ、とりあえずこれが魔王城の秘密ですね。

あぁ、他の国の城はこうは行きませんからね、壊したらちゃんと直さないと」


「そういえば、ネルカートの城に突っ込んだ時にその後修理してたな、あれは直らないんだ」


「えぇ、その他にもホコリとかが積もったら勝手に掃除してくれるので、私達はこの城を掃除する人とかも雇わなくてもいいんですよね」


「へぇ、凄い……俺の住んでた家にもそれ欲しいな」


「えぇ、便利ですよね、でも、今はあなたの住む家ですよここは」


「まさか俺が城に住むことになるなんてなぁ」


「私もまさかこの年で魔王に就任することになるとは思いもしませんでしたよ」


「いやほんと、お疲れ様です……」


「いえいえ、カルカトスも、お疲れ様です……っと、私はナルヴァーの所に行ってきます!!!」


 時計をちらっと見ると、目を開いてビューンと走り去る。

固有スキルも使わず、自分の足で走っていく


 そういえば最近は遠出する時も固有スキやじゃなくてナルヴァーの背に乗って飛んでいっていたなぁ。


「……やっぱりまだ小さい子なんだな」


 時々俺よりも年下だって言うことを忘れてしまいそうになるが、ああいう所を見ているとまだまだ子供なんだなと思わされる。


 俺としては魔王城の秘密よりも、魔王様の秘密を色々知りたかったんだがなぁ。


「あ、カルー!これみて〜!」


「んー?……あ、もうそんな時期か」


「うん、ネルカート生誕祭、もうそろそろだよ」


「……今年も出ようかな」


「お!出るんだ?」


「あぁ、あいつも出るだろうしな。

あいつの一人勝ちは許せないからな、絶対に止めてやる」


「二人って、仲良いよね」


「……まぁな」


 いつからか、あいつと俺が同格のように語られるようになった。

戦績は、酷いものだ。

サクラと初めて戦った冒険者ギルドではぼろ負け。

生誕祭でも途中で暴走して負け。

昇格試験はあのままやればどっちが勝っていたか分からない。


「……三戦二敗一分け」


 酷い成績だ、なのにアイツは俺を最高のライバルと信じて疑わない。

その期待に応えなくて、何がライバルか。


「……絶対に負けてやらねぇ……!俺の方が強いと知らしめてくれる……!」


「ちぇー、妬けちゃうなー」


「悪い悪い」


 少し、熱くなるとアイツの熱が俺を浮き上がらせる。

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