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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、君だ
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気になるあの娘

「……ス様……カルカトス様?」


「……っおお、悪い悪い、どうした?」


 今は仕事が終わってラジアンの仕事が終わるのをナルヴァーとまっている。

ナルヴァーがなにか話しかけてきていたが、つい、迷宮の方に気がいってしまって、上の空になっていた。


「ですから……その、告白しようと考えてまして……」


 ナルヴァーが頭をかきながら、斜め下を見て笑う。

そのナルヴァーの言動を見て、迷宮のことは、今だけ吹き飛んだ。


「何をだ!?」


「意中の方がいまして……」


「ほう!誰だ!?」


 ナルヴァーの隊に入っている邪龍の子達か、はたまた魔族の子達か……?あ、ダークエルフか!?


「……その……ディブロ様です……」


「?………っ!!?」


 そんな名前の魔族の子いたっけ?って考えてしまった。

いつも魔王様って呼んでばかりだから、咄嗟に出てこなかった。


「っ!!ラジアーーーン!!!」


 腹から声を出して、ラジアンを呼ぶ。


「はーーーい!私もうすぐ仕事終わるよ!」


「後で話したいことがある!覚悟して!!」


「?は、はーい?」


「か、カルカトス様?何を?」


「一番魔王様の近くにいるのはラジアンだからな、あいつに色々聞こう、あとは……エンブラーさんとか!」


「その……えぇ?いいんですか?」


「当たり前だ!さぁ準備しろ!お!来たか!ラジアン!」


「うん!爆速で仕事終わらせてきたー!んで?どしたの?」


「飯食いに行こう!」


「あら、いいですね、私もご一緒しても?」


 っ……ぐおぉ!!魔王様ァ!いつもなら二つ返事どころか言う前から誘ってるぐらいだけどぉ!!間がァ!悪いのォ!!


「は、はい、魔王様もぜひ」


「っお?」


 以外にも……いや、ナルヴァーが答えるべきか。


「……ん?」


 そんな俺の反応に、ラジアンがなにか勘づく……やるなぁ


「カル」


「なんだ?」

 

「左目、すっごいぴかぴかしてる」


「ん!?あ!?おぉ!?」


 確かに左目の軌跡がピカピカしてる!?


「ですよね、言ってよかったのか私迷ってました」


「ちょ!?魔王様!?」


「なんかすごい眩しい……っふふ」


 笑われてしまったが、皆がこっちに意識が行っているおかげで話題は反らせそうだ。


 なぁ、リリーよ、そういえばお前の好物は甘い物と人の恋バナだったな。


「それじゃ、カルの迷宮完全踏破を祝って〜!?」


「かんぱーい!」


 そういえばまだみんなで集まってできてなかったな。

皆こうやって俺を祝ってくれるのは非常に嬉しい。


「……ちょ、ラジアン……ちょっと来てくれ」


「ん?どうしたの?体調悪いぃ〜!?」


 あ、こいつ酔ってるな?


「……風に当ててきます、魔王様」


「ふふ、そうですね、でもカルカトスが触ったら直ぐに再起動しそうですけどね」


「……確かにしそうなのが……」


 そんな話をしながら、外に出る。


「で、話?」


「っおぉ!?」


 ラジアンが急に素に戻った。

まさかこいつ酔ったフリしてたのか?


「おま、いつから!?」


「リリーがピカピカしてた時から、で?何があったの?」


「……実はだな……ナルヴァー、魔王様のことが好きらしい」


「……私も好きだけど……?」


 あー、そういう意味なら、俺も好きだが……

と言う含みを込めて首を振る。


「……あー、はーー……ほほぅー?……なるほどなるほど……それでリリーが……ははぁ」


 完全に頭の中を整理するのに時間がかかっている。


「それで、私たちがすることは!?」


「ナルヴァーのサポート、上手くいくかどうかで行くと……」


「行きそうではある、二人とも似てるし、魔王ちゃんが付き合えるぐらい歳が近いのも、ナルヴァーぐらいだし、でも……」


「あぁ、魔王様は、自分が魔王だからって理由で、ノーって言いそう」


 うーんと唸っていると、暗いところにいるから、左目が光ったのがよくわかった。


「……ちょいリリーと話してくる」


「うぃ、いってらっしゃい、ちょっと辺り見てるね」



「んで、どしたよ、リリー」


 左目の輝石に意識を向けて、リリーに語りかけると、目を瞑っているのに、開けてきた。

花が咲乱れる庭園の中の小さなパラソルのある椅子で、リリーが手招く。


「お困りのようだね、英雄君」


「あぁ、こっち方面はさっぱりだ、助けてくれ」


「いいよ、魔王とナルヴァーの恋ね、いいねぇ、二人ともそういう歳だしね、可愛らしいことこの上ない。

とりあえず、この後、左目引きちぎってナルヴァーに渡して」


「おう……おぉう!?」


 左目引きちぎる!?


「なんで!?」


「それを拾わせて、私直々にアドバイスに行く」


「それ俺が伝えるのじゃダメ!?」


「その間に君には、会って欲しい人物がいる」


「ん?誰だ?」


 この手の話で役に立ちそうなやつは……?


「クレイア、あの子だね、私のベットにいつの間にかヌルッと入ってきてたあの子。

あの子なら、恋の話は経験豊富だよ、色々聞いてみるといい」


「立場の差がある恋もお手の物だろうな、英雄と村娘とかで、普通にあいつはしてそうだ」


「でしょ?さぁ、作戦実行!!」


 そんな話をして、帰ってくる。


「ちょい今日の夜ネルカート行ってくる」


「あぁ、クレイアでしょ?私もありだと思う」


「すげぇなお前、なんでもお見通しじゃん」


 すげぇなお前。


「んじゃ、後で左目引きちぎってナルヴァーに渡してくる」


「おぉ……おぉ!?……リリー、凄いね」


「うん、ホントすごい、俺の体なら何してもいいと思ってやがる」


 上手くいって欲しいな、そう思いながら、俺は今日のご飯は緊張してあまり食べられなかった。

左目をナルヴァーの枕元に置いていって、急いで飛び立つ。


「悪い!サクラ!急にアドバイス求む!」


 扉越しに、声をかける。

あいつが泊まっている場所はある程度予想が着くし、一応メールは送っておいた。


「……っきさま!?ばかぁ!?」


「あちゃー……」


「……あれま、お楽しみで?」


「そうだ!何か言ってから来い……あ、一応言ってたんだな……」


 今見たらしい、あれ結構前に送ったのに……長いことやってるんだな


「……ほぉ、魔王の子が好きなんだその子」


「そう!どうしたらいーい?」


「……魔王の子に、自分が魔王だからってあんまり背負わせないであげることだねぇ、それは君たち皆できてるから、あとは……」


「あとは?」


「……ナルヴァーの本気具合だね」


「本気具合……」


「そ、私とサクラぐらい本気じゃないと」


「やめろ!?人見てるんだぞ!?」


 すーぐそうやって絡みつく。

人の姿を結晶が形作れるようになっているのは、サクラの才能か、それとも愛の力か。

聞いたら多分愛の力っていうんだろうな。


「ありがとう、助かった、また結果は追って伝える」


「吉報を待ってるぞ、カルカトス」


「頑張れってナルヴァーに言っておいてね」

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