2度目の帰宅
「……よし、到着」
誰にもあとは付けられていない、安心安心!
「あ!おかえりー!カル!」
「あぁ、ただいま、ライ」
森に入ってすぐにライが出迎えてくれる。
「みんな待ってたよー!ささっ!」
手を引かれ、少し小走りになりながらライの後に続く。
「へぇ……守護者……そんな者もいるのか」
リョクはお話の内容に興味深々。
「わ、わぁー!傷……痛そう……大丈夫?」
スイは横腹の傷を見て心配をしてくれる。
「……よかった、私の剣役に立ってたんだ」
大助かりだよ、シガネ。
「次は俺ー!たのしみだ!」
ライは今から楽しみのようだ。
「ただいま帰りました、アルトリートさん、師匠」
「お、帰ってきましたか……飲みますか?」
瓢箪を持ってニヤリと笑う……準備していたな。
「是非」
「私もお願いします……いいだろう?カル」
「はい、どうぞ」
「ふふふ……この『清流』の蓋を開けるのは久しぶりですね……」
なんとも嬉しそうな顔をして、蓋を開ける。
「……いい香りですね」
フワッと鼻腔をくすぐる果実の匂い、アルコールらしいキツイ匂いはしない。
「ふふっ、そうだろう、そうだろう!」
「……ふむふむ、色んな果実の匂いがしますね……いいお酒ですね」
鼻のいい師匠は俺とは別方向からお酒を褒める。
「さぁ、どうぞ」
小さなお猪口に注ぎ、こちらに動かす。
「いただきます」
口の近くにやるとまた強く香る。
口の中に含み、喉を鳴らし飲む……美味しい。
「どうだい?」
「美味しいですね……本当に美味しい」
いい果物というのだろうか?果実酒の中でも特に飲みやすい部類に入るだろう。
大したくせもなく、その割にはドストライクに好みをついていく。
「私もこれ好きですね」
師匠の気にも召したらしい。
「そうだ、2人にもお土産あるんですよ」
師匠には耳飾り、アルトリートさんにはペンダントを。
「ふふっ、ありがとうねカルカトス君」
「ふむ、これなら人の時も狼の時も付けられるのか……ありがとう、カル」
2人とも喜んでくれて何よりだ。
「次は?どうするんだ?」
「いやー、休もうと思っていましたけど、冒険者ランキングのこと思い出していてもたってもいられなくて……明日にはまた、ネルカートに戻ります」
「そうか、頑張っておいで」
「私の弟子ですからね、きっと大物になりますよ……な、カル?」
圧に近いものを感じたが……いや、これはきっと信頼だ。
「は、はい!」
アルトリートさんは苦笑い、師匠は満足気に笑っていた。
【清流】
聞く人によれば、飛び上がるほどに希少なお酒。
空のように青く、流水のように常に冷たい不思議なお酒。
特殊な製法で鬼が編み出した高級酒。
口に出来たらラッキーだ




