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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰かのために、己を捨てることをも厭わない者だ
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森へ帰る前に【カルカトス】

「……という事なんだ!どうだ?いいかな!?」


 今俺は、バンクさんに詰め寄られている。

理由は『アライト戦の内容を開示してもいいか?』との事だ。


「はい、構いませんよ、アライトさんの口ぶりだと他にもいるだろうし『10層ごとに休みがある』という認識を変えていただければありがたいです」


 あの言い分だと恐らく20層の守護者も解放されている……目撃情報云々の前に姿形が不透明なせいでまるで分からない。


「本当か!ありがとう!助かる!」


「……?バンクさん何をそんなに喜んでるんですか?」


 近くにいたクロルさんに聞いてみる。


「それはカルカトス君も知っているだろうが『冒険者ランキング』に関わって来るからだね」


「『冒険者ランキング』……」


 オウム返しにそう答える。


 確か、冒険者の人気や、活躍度合いを冒険者以外の人物にも採点してもらうといった内容だったか?


 冒険者側の視点からの『冒険者の部』

一般人視点の『民の部』


 そして、最大のポイント『総合の部』


 確か……このランキングによって入ってくる仕事の質なんかや、名が売れれば結果上手く回ることも沢山あるわけだ。


「……なるほど、結構上位狙ってるんですか?」


「まぁね、上半期では一応『84位』までは食い込めたからね」


「84位!?」


 そこっ!「いまいちぱっとしないなぁ」なんて言わない!エンも!


「え?だって微妙じゃない?」


『全冒険者の中で84位だぞ!?全精霊の中で84番目に凄いのと同じようなものだ!!』


「……!なるほど、身近に置き換えると物凄いことだね」


「ふふっ、さては相当読み込んでるね?」


「ま、まぁ、バンクパーティーの名前は覚えていませんでしたけどね」


「仕方ないさ、基本的大々的に取り上げられているのは最上位か、新しく100位以内に入った者だけだからね」


 雑誌『週刊冒険者』より、上半期のランキングや、大会の告知、人気の冒険者の最近の偉業、貴族達のちょっとしたトークなんか、読む人が読めば中々に楽しめる雑誌だ。


「それで、初めてだろう?あんな『守護者』なんて存在」


「はい、本に事例はないと思いますし、何よりも彼は……自我があった」


「そう、そこだ」


 クロルさんが満足気な顔で俺を指さす。


「……きっと、このことを大々的に取り上げた時、大きくわけてふたつの派閥に分かれる」


「……そうか!『守護者を人として扱う』か『大迷宮のモンスターとして扱う』の2つですね」


「あぁ、その通りだ……アライト、彼とは少ししか戦ってはいないが、間違いなく人だ、だが目の前でモンスター同様に消えたのも事実……難しい問題だ」


「どっちが正解って訳では無いですもんね」


「あぁ、本当、その通りだよ」


 『ハァ……』とため息が2つ、部屋に漏れる。

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