守護者不在の件
「……そうか、フレイが……」
フレイの、本性?と言うべきだろうか?それを伝えると、なんとも言葉にしずらそうな顔をして、頭を抱えるサクラ。
「……そうかぁ……許す許さない、そういう話じゃないのかもしれん」
「……お前にしては、やけに大人びたことを言うな」
「はっ、私とて、足踏みは苦手でな、誰かに歩調を合わせる気は無い」
実にこいつらしい。
「次、行きたいんだが、着いてきてくれるよな」
九十六層への同行を頼む。
「あぁ、無論だ」
「ありがとう……だがな……クレイア、いるか?」
「もっちろんだよー!」
「……どうするの?」
「……一応ね、あっちの方から収集かかってるから、もちろん行かなきゃ行けないよ。
私の元々の仕事は、守護者ってことだから」
「……っぇ?ってことは!私から離れるのか!?」
サクラが取り乱す。
「んん……いや、それは私としても嫌だからさ、何とか取り合ってみたの」
「おぉ、私の知らない間にそんなことを……」
「ごめんごめん……んでね!私たちが付けた話は
『もう一度守護者として戦えない、だから、代わりの守護者を連れてきて』って言ってみたら、案外すんなり『いいよ』って言われたの」
その言葉に、俺もサクラも目を見開いた。
そして、言葉が出ない、口が開いたままふさがらない。
「……っえ!?」
「っなんだと!?」
二人して、ようやく言葉がでてきたが、意味を理解するための時間は沢山あったのに、結局理解が及ばない。
「……ふっふっふー!これぞ!英雄コネクションだよね〜」
俺たちの動揺を何処吹く風で笑うクレイア。
しかし、すぐに真面目な口調になって
「確かにこれは例外な事だよ。
だけど、私も、迷宮の主も、君たち二人相手であれば、新しい守護者を連れて来ても、なんら問題はないでろうという結論に至ったから、私たちは連れてくることにしたんだ」
「……誰を……連れていたんだ?」
サクラが、重々しい口調で問いかけた。
「そのままドストレートに名前を教えると、面白くないからね。
でも、ボヤァっとしたヒントをあげることにするよ」
「……ヒント」
ゴクリと喉がなった。
「『女』『勇者』『毒』『茶菓子』『未来』」
五つの単語がヒントという名目で配られたが……
「……え?だけ!?」
全くもってわからん!?
「毒の茶菓子……?で未来ィ?女勇者が、毒で茶菓子で未来?」
俺もサクラも、どういうものなのか、全くもって分からない。
「わからないのなら、自分たちの目で答え合わせをするといい」
毒、女の勇者……確かにいるだろうが、別に沢山いるしなぁ。
んで、未来?それが一番分からない。
「……答え合わせに、早く行こう!」
「あ、ちなみに実力はザクラ曰く『タイマンでやっても俺以上だなぁあいつは』だからね」
「……竜王ですら、適わないのか!?」
「竜王曰く、ね」
「……カルカトス……!!」
フルフルと震えている。
「……どうした?サクラ」
「早く行こう……楽しみで仕方がない……!!」
実にこいつらしい。
「……あぁ、俺も楽しみだ、英雄大好きな俺でも、全然分からないヒントの数々、はっきり答えがわかる時が楽しみだ」
「……さぁ、蛇が出るが蛇が出るか!?」
サクラがウキウキとした笑顔で九十六層に足を踏み込んだ。
しかし、そのセリフに俺もクレイアも
「「どっちも蛇じゃん!?」」
つい突っ込んでしまった。
「……?……あ、そうか」
素手間違えてた、こいつが本当に成長しているのか、少し不安になった。




