お見舞い【グエル】
「……あ!起きてる!?」
「おはようございます……バンクさん、クロルさん、ウェインさん、グエルさん」
朝一番にギルドにやってくるとカルカトスさんが椅子に座って窓の外を眺めていた。
「……体、大丈夫なんですか?」
「あぁ、大丈夫ですよ、それよりも、これって?」
ローブの内側から綺麗な『輝石』を取り出す。
「あぁ、それはアライトの輝石さ、守護者は死んだら輝石になるらしい」
クロルさんが、簡潔に教える。
「やっぱり、アライトでしたか」
「わかるもんなんだ?」
食いつくようにウェインさんが聞く。
「はい、何となく、ですけどね」
「そうか、まぁ、君には話すべきことがあるからね
アライトが残した言葉を君に送ろう」
そうして、あの男が話した内容を彼に伝える。
「……そうですか……」
仮面越しにでもわかる……『ニヤニヤしてる』と。
口元を押え、笑いを隠そうとしているが、嬉しくて仕方ないのだろう。
「嬉しそうだね」
「強者に認められるなんて、嬉しいに決まっていますよ」
仮面越しにニコニコしているのがわかる。
「……君を怪我させてしまった俺が言うのもなんだが『パーティーに来ないか?』」
「……ごめんなさい、俺にはもう『仲間がいます』」
「……へぇー?誰ー?」
「……わかる人にはわかります、もっとも、今のところ1人にしかバレてませんけどね」
「……ふーん?」
わかる人にはわかる?何の話だろう?誰が仲間なのだろうか?
「というわけで、勧誘は嬉しいですけど……また、共闘することがあれば、是非お願いします」
「……フラレちった、残念だなクロル」
「全くだ、だが、無理強いはしないさ、医者の見立てではあと1日ほどで退院できるってさ」
「!短いですね!」
「君が5日も寝てたからね」
「!?そんなにですか!?」
ハッハッハと笑いが部屋に充満する。
「明日以降どうするんだ?また潜るのか?」
「ちょっと実家に帰ろうかな、と、休養ですね」
「なるほどね、まぁ、グエルと同期で1人であそこまで進んだんだ、休みも必要だろう」
「はい、そういうことです」
「……カルカトスさん」
「?はい、グエルさん」
「お疲れ様……かっこよかったよ『英雄サマ』」
私は今少しイタズラっぽい笑みをしていたかもしれない。
「……っふふっ!はははっ!ありがとうございますグエルさん」
ニコニコ顔の彼が礼を言ったので、頷き返した。




