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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰かのために、己を捨てることをも厭わない者だ
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鎖の英雄……?

「さて、何とかこれで戦えますね」


 左腕を鎖の義手を使って擬似的にとりもどすアライトさん。


「私も頑張るかなー」


 やる気を入れ直すウェインさんが、俺の背中を叩き。


「頑張ろうね」


 そう、言う。


「はい」


 短く、だけども確かに強く頷く。

心強い、負ける気がしない。


 だってもう相手の片腕は飛ばしたんだから。


「……っふ!……はははっ!」


 笑うアライトさん。

鎖だけだと思っていた武器は変わった。


 先に剣や斧の着いたおかしな武器をも操り出す。


「っぐっ!……重いっ!」


 横凪の一撃を剣で受ける……体が地面から浮き上がるのを感じた。


「危なっ!?」


 壁を蹴り、衝突を回避する……いや、どこまで吹っ飛ばされたんだ……?


 遠くから見るとあのリーチの長さの異常さを知る。


 バンクさんでも、受け止めると少し止めきれていないのか地面を滑る様子だ。


「……〈鎖乱舞(チェーンソー)〉」


 様子を見ているとぐるりと回り、1本の鎖を超高速、広範囲に回りながら攻撃してくる。


「むっ!私の出番!ウェイン行っきマース《悪戯者の手(グラッジハンズ)》」


 空中を掴むようにし、強く引く。


 すると、ジャラリという音と共に鎖がこちらに落ちる。


「はい、ゲットー!」


 余裕そうな口ぶりだが……ウェインさんは、遠目から見てもわかるぐらいには疲れていた。


「凄い……!」


「まさかここまで追い詰められるとは……!」


 アライトさんも少し焦ってくれている。


「俺達もやろうか、チャンスだからな」


「あぁ、行こうバンク」


 バンクさんとクロルさんが2人走りだす。


 重そうな鎧をつけているのにそれを感じさせないほどの動きに驚きを隠せないが……後でにしよう。


 後ろからゆっくりと慎重に……バンクさんが十分に近づいた今!


 地面を蹴り、大きく距離を詰める。


「やはり来たね!カルカトス君!」


 そういうと地面が盛り上がりそこから先に刃の着いた鎖が俺を貫かんと出てくる。


「それは、避けられる!」


 左足で急ブレーキ、そのまま左足を軸に回り、地面スレスレに剣を投げつける。


「んなっ!?」


 剣を投げるのは流石に予想外な様子だ。


 それはそうだろう、あのラジアンも予想していなかったはずだから……剣士が剣を捨てるなんて。


 その剣はアライトさんの足を切り飛ばし、少しした先で壁に突き刺さる。


「ナイス!カルカトス!」


「カルカトス君、助かる!」


 2人が崩れたアライトさんに斬りかかり、そして……バンクさんの剣を抑えた瞬間、クロルさんの剣がアライトさんを袈裟懸けに斬る。


「……ふっ、ふははっ!負けた!僕の負けか!」


 楽しそうに、悔しそうに、悲しそうに笑うアライトさんの目……その目がまだ死んでいない……?


「だが!僕はまだ見つけていないんだ!」


 残った右腕を妄執に取り憑かれたかのように宙を彷徨わせる。


「まだ……まだだっ!」


「んなっ!」


「危ないっ!」


 その右手の袖の下から鎖を伸ばし、バンクさんを狙う……その間に俺が割り込み、横腹に大きく穴を空けられた……またかよ。


 体を襲う脱力感……呪いか、致命傷か、どちらか分からないが……どうでもいい。


「!……ははっ!『見つけた!』見つけたぞ!」


 満足そうな顔で笑うが……意識が持たない……


 暗く深い闇にプツンと辺りが切り替わる。

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