羊皮紙
「……さてと、今度は一体どう言う事だか……」
「これは……私も本で読んだことがある、砂漠というやつだな」
八十六層に飛び降りた瞬間、強い光に目が眩む。
一面砂砂砂に照りつける太陽。
「砂漠って……アンノウンにはないはずだろ?もっと遠くの世界にある……」
「私もそう聞いているが、実際目の前にあるのだから仕方ないだろ」
「……そ、それもそうか」
なんて話をして歩いていると、地面が急に渦巻いた。
「っお!?」
「なんっだこれ?引きずられるな?」
飛ぼうにも羽ばたけない訳だが……
「サクラ、頼む」
「任せろ」
結晶が伸びて、それに掴まった後、グンと戻る。
砂の渦がピタリと止まり、少し揺れたあと、大きな竜が飛び出した。
丸々と太った身体に、大きな目と耳。
砂の色と見分けのつかない体色に、ギザギザの牙。
「こわ、なにあいつ、目怖すぎだろ」
「だな、私もああいうビジュは苦手だ」
なんて話をしながら、秒殺する。
「楽勝だな……っお?」
サクラが勝ち誇った後、違和感に気づいたらしく、魔石の元に行く。
「?なんかあったか?」
「これは……この羊皮紙、なんだろう?」
二枚の紙を持って、寄ってくる。
「……よ、羊皮紙ぃ?」
なんでそんなものが……もしかして
「ここの階層にあった魔法具をこいつが食ってたとか?」
「あぁ……有り得るな……これに見覚えは?」
「……っ特には………もしかして」
見覚えがない……というわけじゃない。
ただの羊皮紙があるわけないし
「これは昔のステータス確認に使われてたものだな」
「……ほほぅ?しかし何も起こらんが?」
「血を垂らす必要があると聞くぞ、ちょうど2枚だ、やってみるか?」
「……あぁ!やってみよう!」
俺は血を操って傷がなくても血を出す。
サクラは大剣に指をピッと掠らせて血が出てきた、まぁすぐに治ったが。
「……おぉ?字が出てきたな!」
「……あ、俺の方もでてきたぞ!」
俺もサクラも少しテンションが上がる
カルカトス ナイトメア
年齢 18 性別 ???
種族 キメラ
職業 冒険者・魔王軍護衛兵
Lv 49
HP411
MP521
筋力 233
耐久 240
速さ 352
賢さ 276
魔力 325
称号 『擬神』『神獣殺し』『古兵を綴る者』
スキル 我流剣術Lv11 ミラン流剣術Lv15 獣の五感Lv11 譲渡Lv10 悪夢魔術Lv16 呪術Lv10 精霊術Lv15 光魔法Lv15 擬神の瞳Lv2 斧術Lv2 弓術Lv4
装備品 アイテムボックス 剣聖剣 ラジアンの篭手 パックの篭手
固有スキル《限界突破》Lv12
状態 好奇心 未来視
「……っあれ?」
ステータスの数値が大幅に落ちている……?
擬神の瞳出みてみれば、前よりも強くなっているはずなのに……むしろ弱い?
「……サクラ、なんかステータス変じゃないか?」
「……昔のやつだ、測り方が違うのだろう」
なるほど、たしかにな……
「……分からないな、昔だと測り方が変わるのか?クレイア」
サクラがそう問いかけると、ニュルっと生えて
「んー、そうだねぇ。
昔と今じゃだいぶ違うからさ、例えば昔数字が小さかった人でも、こっちの方じゃ中々高い数字だったりするしね」
「……ははぁ……一万年前は、魔境だな」
「っはは、だね、けど私たちよりもずっと、初代勇者の方が強いって、みんな口々に言ってるよ」
「……初代勇者、ココアか。
あの人はどの英雄譚を読んでも『凄い』ってことだけは共通してるよ。
一万年前を生きていた英雄たちは、みんな、みーんな、あの人が1番強いって言ってる」
「だね、私もそうだし、父さんも母さんも同じことを言うよ」
「……凄いんだな、ココアっていうのは……私はよく知らん」
いかにもサクラらしい。
「そうか、まぁ知らないことは別に悪いことじゃない。
面白いことを知れたんだ、俺も知らなかったことを。
さぁ、もっと深くに潜ろう、もっと知らないを知るために」
「……っだな!そうと分かれば……全速……前っ進!」
神速を使って、砂を巻き上げながら、走っていく。
それに急いで追いついていこうとする。
俺はいつもあいつに置いていかれる気がするな。
「まてっ!サクラァ!!」
あのバカ、もうあんなにちっちゃくなって……!
「……次はここの縦穴だな!」
「……はいはい、そーですね……っお?」
「……気付いたかカルカトス、この下は……海だ」
「……っもぉ、最後ら辺だからって、大盤振る舞い過ぎないか?
まさかそのまま環境が出てくるだなんて……サクラ、どうする?」
「どうするも何も……そりゃぁ行くしかないだろう?」
ぴょんと飛び降りる。
蜘蛛のように八方向に結晶を伸ばし、ブレーキをかけながらゆっくりと降りていく。
その姿を真似して、俺は壁を垂直に立って、てくてくと歩いておりていく。
「っはは!?なんだそれ!気持ち悪っ!」
「っなんてことを言うんだ!お前トカゲとかに失礼だとは思わねぇのか!?」
「っは!あんな劣等種族に抱くのは哀れみのみよ!」
「お前はそういうやつだもんな!!」




