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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
セカイノカタチ
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「よしそれじゃ、次に移ろうか。

本を書くのは大変だからな、各々やってみたいこと、やって欲しいことをまとめてもらうよう、言っておいたな、その紙を出してくれ」


 各々の希望の書かれた紙を出してもらい、新しいギルドの形を象る。


「じゃ、まずはこういうのは、ギルドマスターの私からするべきだよな……そうだな、私としては平和になってきたんだ、冒険者の育成に力を入れたい、次の世代にも、この平和な時代が引き継がれることを願ってな」


 ウンウンと頷くシーカーズの面々、同じことを書いているらしい。


「はいフメテアパーティーからいいですか!」


 アモラスが手を上げる。

頷くと、アモラスじゃなくてアーガンが立ち上がる。


「……あ、あの……す、少しだけ……遊び心があってもいいかなぁ……って」


「?遊び心?どんな?」


「……その、仕事の出来具合や、実力の伸び具合、ギルドへの貢献度に応じてドラゴンポイントみたいな、ボーナスを与えてみるのはどうかなって」


「……ほほぅ?それをどうするんだ?」


「た、例えば……その、実は昨晩ネリーさんとお話する機会があって、その時にギルド内に服屋とか、ご飯屋さん、あと武器防具屋もあればいいんじゃないかって……それで、そのポイントに応じて、そこで交換出来る……みたいなのはどうですか?」


「……なるほど……なるほどな」


 確かに面白い話だ。

週刊冒険者と協力して、順位のあげた冒険者にボーナスか……うん、頑張る理由になるな。


「なるほど面白いな……うん、採用しよう、ネリーの方も、採用だ」


 とりあえず強欲に何でもかんでも取り込んで、ダメそうなら取り除けばいい。

とりあえず試してにないとな。


「あ、そういうことなら、私の方からも提案が」


「?ラヴハート、どうした」


「はい、私の方からは、冒険者の女の子たちにアンケートをとって見たところなんですが……冒険者を続けていると、将来結婚とかに不安を持つ子も多いみたいで。

お菓子作り、ファッション、後は礼儀作法の教養なんかを学べる場所を用意するのはいかがでしょう?私が筆頭に講師として参加もします、冒険者育成学校の選択科目などに取り入れていただけませんか?」


「……な、なかなか生々しい話だな……結婚とかもそうか、したいよなみんな。

うんうん、ありがとう、それも用意したいところだ」


 メモに書きとめる。


「あ、僕からもよろしいですか??」


 冒険者じゃないが、魔界の方で街を守る竜、ナルヴァーが手を上げる。


「あぁ、どうした?」


「冒険者ギルドの方をいくつか拝見させて頂きましたが、ヘルヴェティアの方と違って、福利厚生があまり良くないかと」


「……続けてくれ」


 ふくりこーせー?


「はい、例えば、職場がこのギルドひとつだけになってしまったことから、職場が以前よりも遠くなった人がいるでしょう。

その人たちは馬車に乗ったりしてここまで来るわけですが、毎日運賃を払っていてはバカになりません。

ですので、例えばここの近くに一定の実績を保証されたものには寮を貸し出すなど、冒険者が助かる何かがあるといいかもしれません」


「……あぁ、なるほど確かに」


 以前ソウルドですごした寮生活もなかなか悪くなかった……あれを参考に作るとすれば、ソウルド出身のラヴハートもいるし、いいなそれ。


「よしわかった、なら運賃や、仕事先の宿の支払いの何割かをギルドで負担しよう……そうだな、ポイントの使用先の一例としてそれを用意するのもいいな……」


 あとは、寮で暮らすための日用品なんかもポイントの使い道としてありか?


「……これじゃ、商業施設のようにも見えますね」


 フロウにそう言われて、確かにそれは言い得て妙だと思った。


「いっその事そうしようか?ファクトは何かあるか?」


「……あぁ、俺としては以前の戦争以来、少しばかり森の方がぼろぼろでな、自然環境保護部みたいなのを作って欲しい。

俺はそれをちゃんと動かす。

薬草の採取可能量や、使ってはダメな魔法もちゃんと整理して、まずは以前のネルカートに戻すところから初めて行きたい」


「……確かに、戦いで大きくボロボロになってしまっているからな。

よし、それも採用だ、おそらくお前のような獣人と、あと恐らくエルフや翼人も参加することだろう。

テイルもファクトを支えてやってくれ、他種族でパーティーを組んでいたフメテアパーティーのお前たち2人なら、種族間の違いにも柔軟に対応できるだろう」


 少し不機嫌そうに睨み合ったが、満更でも無さそうだ。


「俺たちの方からは、若者冒険者の死亡率を大幅に減らしたい、教科書のようなものを作りたいな」


 それはバンクからの申し出、可愛らしくデフォルメされた絵を描くのが上手いシーカーズと、共同制作らしい。

その腕はまだまだ活かしてもらおうか。


「さて、整理しようか。

まず、用意するのは寮とかの新施設と、新しい部署。

そして、この屋根もない会議室を、ギルドの中心に動かそうか」


 そう、今の我々には、そもそもギルドすら貰えていないのだ。

まずはそれを建てるところから始めて、建ったら、寮を作る、ポイント導入の為のギルドカードのシステム変更。

後は、寮とギルドに本を置こう。

辺りの森のマップや、危険なモンスター。

後は、迷宮探索のシステムのほうはまたカルカトスと話し合うとしよう。

福利厚生と、新しい商業施設の追加など。


「……うん、これだけいっぱい詰まっていれば、これだけ昔のものとかけはなれていたら……面白そうだと思わないか?」


 みなの顔を見返す。

空は曇っているが、皆いい顔をしている。


「……ん……あ、やばい!雨降ってきた!紙隠せ!」


 せっかくの会議の結晶が雨に流されないように、急いで屋根の下へ帰って行った。

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