新生ギルド ポスター編
これは、八十層の戦いが起こるその少し前の話。
ギルドに、各重役に集まってもらった。
上の方の人達が一斉にいなくなったのだ、年配の人たちもほとんど引退していて、そこをバーンと爆破されて誰も生き残っていない。
そのため、今、私は新しい冒険者ギルドマスターを任されることになったのだが、ギルドの冒険者もかなり不足している。
ラヴハートの話いわく
『戦闘できる人材は減らしておこう、変な思想を持っていたら反発された時に厄介だし、何よりも我々の邪魔になるかもしれない……から、そこには積極的に爆弾置きましたね』
と言っていたことから、今完全に人材不足に陥っている。
それらを解消するために、ポスター、業務的な求人票、冒険者勧誘ルールブック的なもの、コマーシャル出演などを計画し、それらの計画書を各々提出してもらうために今日は集まった。
「それじゃ、会議を始めよう
まずは、ポスター班の、アモラス筆頭にアーガン、テイル、ファクトの4人お願いする」
そう言って立ち上がったのは、アーガンとテイルだけ。
残りの2人は座っている。
「まず、今回ポスター作成にあたって、現在街で貼られているポスターの中で気になるのもを頂いてきました、無論許可はとっています。
こちらの2枚をみてください、鍛冶屋のポスターです、街で見かける人もいるんじゃないでしょうか?」
アーガンとテイルがポスターを一枚ずつ持っている。
「アーガンが持っている方を見てください。
無骨な金床こと、剣の絵が書かれており、その下には大変達筆な字で『心を鍛え、刀を鍛える』と書かれています。
これらは、己の技に、腕に絶対の自信を持っているからそこできるタイプのポスターと言えます。
この無駄を最大減らしたスケッチのような絵
短い言葉で確かに人を引き寄せ捕まえる、これぞまさにの『キャッチ』フレーズ
そして何より、これで確かに弟子が増えたとの事をこの方から直々にお聞きしました、そして、弟子入りした方々も、やはりそのポスターから滲み出る職人気質に惹かれたと答えていました」
確かに見覚えのあるポスターだが、こうも事細かに分析したりなどはしない……相変わらず、アモラスの仕事のできるその具合には開いた口が塞がらない。
「そしてこちらは、可愛らしいポスターですね。
盾と鎧が書かれており、先程の殺人的な職人気質のものとは違い、こちらは少しばかり、取っ付きやすいと言いましょうか?万人受けするポスターです。
こちらは、このとおり優しそうで人相の良い方が親方をしているのだと、このポスターでも分かりますね、顔が乗っていますから。
このようにこちらは、一枚のポスターで、様々なことを訴えかけてきます。
文の方も『いつか誰かの命を守る武具を一緒に作りませんか?』と、こちらに語り掛けてくるようなフレーズとなっています。
先程の説明文的なものとはまた違った良さがあるでしょう?」
そう言って今話を区切った。
「さて、以上のことより、この2枚のポスターからいい所をいくつかいただくのは確かに当然のことです。
まず私たちは、我々がこれらのどちらのタイプのポスターに該当するのかを考えてみました。
以前の爆破テロにより、冒険者の信頼は地に落ちたと言っても過言じゃないでしょう。
ですが、その後の皆様の活躍により、死者もいましたが、新たな英雄の誕生のきっかけ、世界平和の実現などの実績により、またも上がっていると言えます。
しかし、一度落ちた信頼、そして、現在の人材不足の状況を照らし合わせてみると、今の我々に必要なパターンは、万人受けするもの、そしてこの人数で以前と同じパフォーマンスは難しいでしょう。
ですので、新しい冒険者ギルドということを全面的に前に出していこうと、以前の会議で出ましたが、それも踏まえて、ポスターを試作ではありますが作ってみました」
そうして、ファクトが立ち上がり、少し気恥しそうにポスターを見せてくれる。
私と思われるドラゴンがバックに、その前に、ここにいるメンバーをモデルにしたであろうものたちが立ち並び
『世界が変わった、冒険者も新しい形へ』と書いてある。
アーガンの固有スキルで2人に増えるところもイラストで再現されていて非常に面白い。
「絵が上手いんだな、ファクト」
「……っるせ……」
ポスターはほとんどこれで完成でいいだろう。
業務的な求人票のほうは、アモラス、グエル、ラヴハート、クレイアのデキル女四天王によって秒殺された。
さて、次は冒険者勧誘本というか、新しい冒険者ギルドを知ってもらうルールブック的なものを作るとしようか。
「質問〜、ギルドマスター、これを作る金はどこから?
まさか俺たちで金を集めてこいなんて……言わないよな?」
ファクトがなかなかいいところを突いてくる。
「安心しろ、金の方は私が随分と余裕がある。
以前の英雄勲章授与式の賞金や、クレイアは自分のお金はギルド再設計に使ってくれと言われたからな、それに、3人の勇者の内2人の分はギルドに使われた。
ピュー達のものは、国以外の、小さな町や村の再構築に使われているらしい。
まぁなんせ、金の心配は不要だ、派手にやれ」
私がそう言うと、納得した様子で席に戻った。




