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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とはなしをして、お花を咲かせたいです!
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 リリー、お前の未練が俺には分からない。

英雄の何たるかは告げた、ラジアンと俺は無事結ばれた、絵は書いて貰えたし、無論花は咲いた、ラヴィと戦って、果てに一心同体の身となった。


 ここで考えられる仮説は

『外部のラヴィと同化して、守護者ではなくなった』

それ故にもうそもそも『未練』とか『守護者』とかいう枠組みから既に解き放たれた、別の何かになっているのか?


 いや、違うか……?

考えろ、考えろ……!今までの言動や、俺がここに至るまでの、様々な英雄との出会いを振り返り、答えを……!


「……今のはいい一撃だったよ、ラジアン、すごいね。

でも、そっちから来ないのなら、次は私から……行こっかな?」 


 そう言って、剣を構えるリリーを警戒して、ラジアンも剣を構える。

俺は思案顔のまま、剣を構えない。


「……か、カル!?」


「何考えてるのかな!?」


 一歩前に踏み出して口を開く。


「リリー、お前、まさか」


 その俺の一歩に反応して、爆速で距離を詰めてくる。

しかし、刃が届く寸前に、続きの言葉が響く。


()()()()()()()()()()()のか……?」


 その瞬間、俺の心臓目掛けて突き進んできた刃が、ピタリと、ギリギリで止まった、背後へ風が突きぬけた。

正解……なのか?これは。


 リリーは言っていた、後に未練を見つけた守護者は厄介だとか。

強くなることをそう揶揄したのかと思っていたが、リリーは強くなった自分も倒せないようじゃ、未練を叶えられるわけがないと言っていた。


 つまり、強くなること自体は、別に何ら迷宮側としても問題ないし、厄介なことでもないだろう、守護するやつが強くなることの、果たして何が厄介だ?


 そう、俺目線で、俺はあまりにも主観で話をしすぎていた。

急に遠くの点と線で繋がった気がした。


「……うん、分からないよ」


「厄介……だな」


 そう言うと、力なく笑いながら、剣を下に向ける。


「未練はあるよ、でも、私のこの目が見せてくれるの『全ての未練の解消の仕方』を、全部知ってることなの、だから、未練として成り立たない、だから、解消もできない、なのに、未練として設定してしまっている以上、ダメなんだって」


 守護者側、迷宮側のルールやシステムは知らないが、それでも言えることがあるとするならば、リリーは、消えなくて済むのか?


「でも!私は消えたいよ!なのに消えられないのは!凄くヤダ!私を今殺したら、きっと、更に強くなって暴れる」


 守護者だからな。


「……だから、私は未練をひとつ新しくできたから、教えるね」


「……あぁ、教えてくれ」


「私の未練は、私の『()()()()()()』を見せて!」


 その虹の瞳で見られる、もしもの世界に存在しない者を、この世界線でしか見られないものを見せてくれと言っている。

新しい大きな未練の存在が、さらに力を大きく増幅させた。


「……あぁ!任せろ!」


「か!カル!?それ無理じゃない!?私説明聞いている感じ、不可能だと思うよ!?」


「ラジアン!俺のさっきの発言が!もしも知っていたのなら、あそこで剣をとめないだろう!?

だから、俺のあの発言は!俺は初めて、リリーの胸の内を看破したんだ」


 その世界線は、現在進行形で、無限に増え続けるんだろう、ならば、その無限の速度を上回り、遥か未来を先読みして、知らない、見た事無い、見ないものが、見えるはず。


「戦いの中でしか、私達はお互いを知り合えない」


 リリーがそう言って構える。

始まるんだ、俺たちは、見つけないといけないんだ、リリーも知りえない、リリーがまだ知らなくて、見た事のないものを、俺たちが先に見つけないといけないんだ。


 なんて難しいことだろう。

しかし、別にこんな無理難題今に始まったことじゃない。


 だからこそ、俺たちふたりでやり遂げられだけまだまだましなんだろう。

すごく美しい世界で、凄い敵に、凄い仲間と共に立ち向かう。


「……いこか、ラジアン」


「うん、いこっ!カル!」

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