恋【カルカトス】
「……っし」
頬をパンっと叩き、一足先にリビングに行く。
幸い、ラジアンはまだ来ていない。
先に椅子に座って、来るのを待つ。
「………あ、カル」
俺と目が会った瞬間、どデカい音が鳴り響いた。
「……よ、ラジアン」
小さく手を挙げて、挨拶をする。
「……うん、お昼はごめんね、急に逃げちゃって」
「いや、こっちこそ、直ぐに答えられなくてごめん」
そう言いながら、椅子に座るラジアン。
「……ってことは、答え、出た感じ?」
「……あぁ、ラジアン」
そう言ったあと、少し息を整えて
「俺も好きだ」
そう言い放った。
まっすぐ瞳を見すえて、そう俺も告白した。
「……っぅぅ!やったぁ!!」
飛び上がり、嬉しそうに跳ね回る。
「……じゃ、これからは絶対に離さないからね?……私の横暴さに振り回されてもらうから」
「……っはは、いいよ、俺も存分に振り回すからさ」
そういって、飛んできたラジアンを受け止めてハグする。
「……いやぁ、いいねー美しい、2人ともやっぱり世界一美しいよ」
ぱちぱちと手を叩きながらリリーが現れる。
「リリー……盗み聞きしてたのか?」
「私だけじゃないよ」
そういって、リリーが振り向くと、その後ろから魔王様が……ナルヴァーも?……エンブラーさん!?
そんなみんなが俺たちふたりの方を見て
「おめでとう、2人とも、私は凄く嬉しいですよ」
「おめでとうございます!2人とも、お幸せに!」
「めでたいね、今から王の間に行こう、ご飯の準備はできているから」
そう言って誘われた先は、既に準備していたらしい、まるで国の一大イベントかのように俺たちふたりを祝福してくれている。
それに俺たちは2人揃って顔を赤くした。
さすがに恥ずかしいのだ。
しかし同期に嬉しくもあったから、各々例を言った。
リリーが1枚の絵をくれた。
真ん中に一本線が書かれ、その左右に俺とラジアンが居た。
これは……確かあの時悩み事をしている時の俺か?
どこから見てたんだ?しかもなんか魂抜けてない?
ラジアンの方は、真っ赤だな顔が。
手で弄っているメガネよりもずっと赤い。
「2人ともの絵がかけて、私本当に嬉しいよ、やっばり愛ってすごいよね、恋の力ってすごいよね、こんなにも美しいんだよ、君たち2人は」
「そ、そう言われるとなんか照れるなぁ」
「……だな、結構恥ずかしい」
しかし嬉しい贈り物だ、ありがたく頂いておこう。
そしてその後、リリーが、口を開いた。
「みんな、そろそろ私お別れだよ」
そう言った。
まぁ守護者なのだから仕方ない話だ。
「カルカトス、私はついにあの絵本を解読したよ、ちゃんと意味がわかったし、上手く再現できると思う。
でもそのままにしたら多分きっと面白くないと思うから、ホシノカケラは咲かないと思うから、私と一緒に八十層で踊ろう!」
「あぁ、いいよ、もう解読できたんだな、さすがだ」
そう言うと、咳払いをして、しんけんなかおになったあ
「……《八十層の守護者》の『リリー サジェントス』の私が言います。
八十層にいらしてください、あなたの英雄の何たるかを胸に秘め、私に知らせたことを戦いの合図と致します。
八十層にいらしてください、その日見たものは生涯忘れることなどで着ないでしょう。
八十層にいらしてください、満天の星空と、満開の花たちがあなたがたをお迎え致します。
明日の夜、私と八十層て踊りましょ」
歌でも歌うように話し終えたあと、部屋の中に花びらが舞う。
そして、視界が開けた時に、リリーはいなくて、1枚の綺麗な招待状。
『英雄よ、八十層へ』
ラジアン、ナルヴァー、そしてサクラも誘って、その美しい戦いを是非見てもらいたい。
「負けないでね」
そう言われた。
「負けないさ」
その日の夜、俺たちは初めて一緒に寝た。
ただ寝るだけだったと言うのに、心臓の音が鳴り止まなくて、全く眠れなかった。
春深い今なのに、一体どうしてこんなにも寝苦しいのだろうか?




