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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰かのために、己を捨てることをも厭わない者だ
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9層 1人だけのパーティー

「……さ、今日は9層に行こうよー!」


『そうだな、エン、道は覚えたし、多分楽に10層に行けるさ』


そういう訳で、とりあえず冒険者ギルドに来て、何かいい話が聞けないか、そう思い耳をすましてみると。


「なぁ、知ってるか?『黒髪赤目』の噂」


「ん?なんだそりゃ?」


 心臓がとび出そうな話題が飛んできた。


「なんでもよー、最近10層付近に黒髪赤目が出たんだとかよ

それもめちゃくちゃに強いらしいぜ」


 めちゃくちゃ強いらしい……俺じゃないな。

ぱっと思いついたのは『ラジアン』彼女だが……彼女は今確か仕事中との事だ。


 もう仕事が終わってダンジョンに遊びに行っているとか?



「……好奇心に負けた……」


 10層付近……つまり、だいたい9層もそれだろう。


「ささっ、もしかしたら俺みたいな困っているやつかもしれないからな、助けられるなら助けたいもんだな」


 そんな理由を自分に言い聞かせ、ダンジョンを進む。



「……1人だと結構大変だな」


 ローブの内側にポーションを入れることが出来るポケットがあるが……もう風通しが良くなってしまった。


「……やっぱり、大変?」


「そうだな、だけど、楽しいさ」


「なら、良かったよ……ねぇ、カル」


「ん?」


「『精霊魔法』興味ある?」


「あるけど俺は使えなかったよ」


「それは、リョクとでしょー?

私とならできるかもよー?」


「……なら魔力を通して……あぁ、無理だな」


「……うーん?何がダメなんだろ?

私は受け入れてるんだけどな」


「ま、いつかそういうのは解ればいいのさ」


 そもそも事例が無さすぎる。


 9層は中ボスを避けながら、10層にたどり着けた……


「よし、10層到達!」


「……ほう?」


「っ!?」


 誰もいないと思いながら声を上げると、返事が返ってきた。


「……君は……探索者だね、なら、戦おうか」


 黒髪赤目、ヤギのような角、独特の羽……魔族。


「ラジアンだけじゃないのか……!」


「?ラジアン?いや、その子は知らないな?」


「……あなたですよね最近噂の黒髪赤目は」


「討伐でもしに来ましたか?」


「いえ、私は貴方の仲間ですよ」


 ローブと仮面を外し、同類であることを伝える。


「最も、魔族ではありませんけどね」


「……いいや、そんなこと関係ないさ、君がどんな種族をも受け入れようとするのなら、そこに大した壁はない、僕も昔同じことをしていたからね」


「……同じこと?」


「僕の自己紹介をしようか『アライト ワクレフト』共存の街インセントの村長で、今は……この『大迷宮(ダンジョン)』を……」


「インセント!?」


「へ?知ってるの?」


「知ってるも何も!?

だってインセントって言ったら……5000年前に、今から一万年前の書物をベースに『氷魔王』が作り上げた国じゃないですか!?そこの村長!?」


「く、国!?」


「いやいやいや!?本当ですね!?俺1度あって見たいと思ってたんですよ!行けるのなら行きたかったんですよ!

どんな者も拒まず、蔑まず、共に共存する国!インセントに!!」


 憧れの国の村長……そんな彼と出会えたのが嬉しすぎてダンジョンだと言うともをも忘れて語った。

 カルカトス君、興奮しすぎて『憧れの国の村長』なんて意味のわからないことを言ってますねw

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