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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とはなしをして、お花を咲かせたいです!
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目的

「……ねぇ、カルカトス」


「ん?」


「……あ、あの子、私のことすんごい睨んでくるよ……ヒッ、まただ!」


 怯えた様子で俺の服の裾を掴むリリー、その怯えて視線の先には……


「?あぁ、ラジアン、安心しろ、こいつは守護者だけど、多分そこまで悪い事考えられないタイプだ。

それに、暴れだしても、俺とお前で止められるだろ?」


「……カル……こっち来て」


「?あぁ」


 そう言って手招きされるままに歩いていった。

すぐ近くまで行くと、俺の腕をぐいと掴み、離してくれない。


「っお?」


「私は『横暴』なの、こうしてて」


 その言葉には有無を言わせなかった。


「……あぁ!なるほどねー!ごめんね!ラジアン!私に任せて!」


 何かを察したらしく、親指を立てる。


「……あぁ?……まいいや、んでだ、ラジアン、説明させてくれ、この子は以前から言っていたが守護者だ、そして!その未練を解消するために、どうやらヘルヴェティアに来ないといけないらしい」


「正確には、ヘルヴェティア周辺のとある小屋だね……残ってるかなぁ?」


 何の話かは分からないが、そう修正を加えられた。

小さな声でラジアンに囁く。


「一応ネルカート王にも、魔王様にも随時連絡は回っている」


「……いいけどあんまりベタベタさせないでね」


「……っはは、わかったよ」


 頭をポンッと叩き、目的の所へ向かう。


「んでよ、ここがその場所?」


「っうぅん、ここなんだけどなぁ……さすがに一万年経てばないか」


「っはは、一万年前から……おいこら、んなもんあるわけねーだろ」


 さすがにイカれた返答に語気が強くなる。


「いや違うんだよ、ここの辺りに何かあった記録はない?小屋が」


「……小屋?……そんなのあった……っけ……あ、もしかして」


「っお?なにか思いついた!?なんでもいいよー!そういうのバンバンちょうだい!」


「五千年ぐらい前に、ここで暮らしていた魔族がいたんだよ、それがのちの魔王なんだけど、多分それのこと?……五千年前って……ごめん違うかも」


 五千年も、建物が形を保てるわけないか


「いや、案外有り得るよ、この家の現在は、おじいちゃんの話によるとトレントっていう木の邪悪な精霊を使ったってさ。

私が作った花畑も、水晶洞窟も、爆破されなきゃずっと残ってたし、なんなら私の花畑は一万年もったんだから、有り得るでしょ?」


「……いや、花は多分世代交代してるぞ」


「……私の未練を話してなかったね」


 こいつ話逸らしたな


「……私の未練!それはズバリ!この花を咲かせること!」


「……つぼみ?」


 青白い蕾の花が植わった植木鉢を取り出した。


「……この花は!我々サジェントス一家が何世代も咲かせようとしたんだけど、咲かないんだ、不思議!だからそれを咲かせたいの!」


「……いやなんで?」


「世界で誰も見たことの無い花だよ!?一万年前からの奇跡の出会いをできたんだよ!?ってかこの花にはきっととんでもない精霊がいるはず!」


「精霊……か、なるほどな……花の精霊……一万年前の精霊ね」


「興味持った?」


「……あぁ!なかなかロマンがある」


 しかし、その手がかりもまたどこかにあるはずなのだろうが……


「ヒントとか、ないの?」


「とある本がヒントらしいんだけど……ちょっと待ってね、キーワード思い出すよ」


 頭に手を当ててムムムとしている。


「……どうだ?」


「んとね……『星』『炎』『水』『風』『問いかけ』『舞』『流星』」


 たんたんと音をポツポツと呟く。


「……そんな本……魔法についての本か?」


「……さぁ、炎はどう?扱える?」


「出来んことは無いけど、俺よりも適任者が……あ!炎の舞が踊れる人がいる!その人のところは!?」


「お!キーワード同時に2ついけるね!おなしゃす!」


 エンブラーさんがいるじゃないか。

あとは水と風……それは2人の勇者に頼もう。


「問いかけ……何を問いかけたのかによるしなぁ……あとは流星……流れ星?」


「……ま、とりあえず炎の舞を踊れる人のところに行こ!」


 そう言われて、まぁとりあえずエンブラーさんの元へ行く。

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