10層 休憩地点
「……おぉ、ここが10層……!」
今までとは違い、迷路が無く、広々とした空間だ。
目を凝らせば11層までの階段がみえる。
「それじゃ、休憩しよっか」
リーダーのその一言を皮切りに皆各々休み始める。
俺は壁にかかった鎖や手錠、折れた鉄格子、そんな物騒なものが並んでいるこの部屋を散策していた。
「……なに、してるんですか?」
「グエルさん……いえ、ここに来たのは初めてですから……こう、ワクワクしているんですよ」
「私もです……深いところまで潜りましたからね」
「だね、10層なんて俺達には早いところだからね」
「そうね……私も早く皆の役に立てるようになりたい」
「俺も1人でここまで来れるぐらいには強くなりたいな」
各々目標を口にし、そんな話をしていた。
「どうする?もう、日も落ちてきただろうし、上がるか?」
「そうですね、俺は何時でも上がるのには賛成ですよ」
「なら、上がろうか」
その後ギルドに寄って、換金を終えて、ダンジョンが28層まで踏破されたことを知った。
休憩地点の十層、とても心休める場所には思えない……それに、攻略がドンドンと進んでいる……世界初を取られるかもしれない。
冒険者も、今どんどんと増えている……
焦りが俺を包む。
焦っても仕方の無いこと、それはわかっているんだ。
「……カルカトスさん!おーい!」
「っ!あ、すいません、ぼーっとしてました」
ローブをもう一度深くかぶり直し、意識に冷水を浴びさせる。
髪が少しでも見えたら、目が合った人には直ぐにバレてしまうからね、深く、見えないようにしなくては。
「もー、聞いてましたか?」
「すいません……もう1回教えてくださいアリーさん」
「はい、最近本日カルカトスさんが踏破した10層で、死者が増加しています
確認できる限りで4つのパーティーが、文字通り『壊滅』しています」
「なっ!?」
「死体には鎖で縛られた痕、首を折られたり、心臓を何かが貫いていました」
「……怖いですね、そんな罠があるんですか」
「そのようですね、罠の位置、対処法等がわかるまではおちおち休めませんね」
「ですね、休憩地点を歩き回っていると即死の罠とかシャレになりませんし」
「えぇ、本当にその通りです……お気をつけて」
「はい」




