吸血鬼【アイビー】
某月某日、カルが娯楽島へ赴いたその数日後の話。
私、アイビーは家で娯楽島の話をテレビ越しに見ていました。
そんな中、インターホンがなりました。
テレビを消して、急ぎ玄関へ向かいます。
「はーい?」
そうして扉の前にいたのは、今現在捜索中のミリアさん
それに驚きつつも、私ではあまり深くは話してくれないかもしれません。
ここは彼女の尊敬するカルの声音に変えて……
「っえ!?ミリア!?」
「あっ!?しっ!!」
口に指を立て『静かに!』という
確かに、四天王がいることがバレては、まずい。
「っす、すまん……で、でもどうした?皆心配してるぞ」
そういうと、その眼元の包帯を解いて、話をする。
「カルカトス先輩、それが……その、私………っごめんなさいっ!!」
その目の下の瞳の色は、金色になっていた。
彼女のめとは違う、金色だった。
その目が輝きだし、私を無差別に攻撃してくる。
「っ何を!?」
「ごめんなさいカルカトス先輩……あなたを殺さないと……私は……私は」
酷く焦っているし、どこか狂気じみたものも感じる。
それほどまでに切羽詰まっていて、それほどまでにカルに攻撃したことが、彼女にとって大きな意味があったのかもしれない。
以前どこかで尊敬していると聞いたこともあるし。
「……ミリア……お前、どうしたい?」
「……ごめんなさいカルカトス先輩……あなたを倒さないと……私はダメなんですっ!」
玄関から、大きく一歩踏み出してきて、私の喉をつこうとしてくる。
「……色々、あったんだな」
私は、カルの声のまま、身体が真ん中からバカッと開いた。
そして、そこに突いてきた腕が、そして身体が吸い込まれ、沈む。
「っえぁ!?」
身体が、何かに飲み込まれたような感覚に襲われるだろう、すごく怖いだろう。
「カルカトス先輩……私を、食べるんですね」
しかし、知っていたらしい、カルが食べたりすることを。
「……ごめんな、ミリア気づいてやれなくて」
「……私……どうすればよかったですか?」
身体が閉じる。
ばくんっと食い終える。
すると、ミリアさんの気持ちとかが流れ込んでくる。
尊敬している人の名前は、恋しているナルヴァーさんの名前。
そして、家族を人質に取られ、どうしようもなくなって絶望している頃の記憶や、一度情報を流してしまった手前、もう皆には頼れないという決心と、どこかでやはり助けて欲しいと切に願いながら、極めて通常通りに振舞おうとしていたこと。
何もかもに、そのどれにも、感情がした。
そして、目が見えなくなって、なんで私がと、やはり私がと。
どこかで罰を受けたかったのかもしれない。
だから、私が食べる直前に、彼女は笑っていたし、何より……今最後の味は、幸福の味だった。
カルが帰ってきたら、魔王様のところに行こう、そして、このことを話そう、そうしたら、私の寿命ももうほんの少しになってるし……何をしようかな……
「……ミリアさん……あなたのことは、私と魔王様だけの秘密にしておきます」
あなたは裏切ってはいませんでしたよ。
あなたの心はいつだってヘルヴェティアを想っていましたから。
「……さて、テレビ、みましょうか」
私も彼女のように、極めて冷静に、ソファに身体を沈めた。




