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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
慈善団体『六罪』
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フブキ シュレンド

 わずか数日だけのことではありますが、彼女も、私たちの大切な大切な仲間の1人です。


 それは誰か?『フブキ シュレンド』様です。


 およそ5000年前から現れた英雄は、過去最高のミスリル級冒険者と言われ、世界最強と称えられた父と母を持つ、間違いない天才。


 彼女のことなんて、おそらく私の話を聞くよりも、今すぐ図書館にでも言って、その名前で本を探して欲しいと言えば、およそ1ヶ月は眠れないことでしょう。


 それほどまでに彼女はありとあらゆることをしてきた。

そして、それら全ての心の中には、より世界が良くなればいいという、私たちに似ていると言えば少しだけ申し訳ない気持ちにもなりそうな程に崇高で、純粋な思いの元に行動をしていたという。


 彼の父が国として統治した平等の国、インセント。

誰もが平等であるために、王として称えられようとも、彼の父は、あくまで魔界を統治する魔王であると。


 その国を国と認めただけで、その国にありとあらゆる先進的な技術をもたらしただけで、彼はあくまで国王でないといいはり、その住み心地の良い国で余生をすごしたと聞いた。


 それは、以前の魔王のように隠居をしていたらしい。

今の魔王もどこかに隠居しているらしいが、死亡説も時々聞く。


 フブキ シュレンド様は、私に、少し話してくれた。


「私のこのツノを託す相手が欲しいんよなぁ………なんかいい魔族おらへんかな?」


「わ、私に聞かれますか?」


「そういうのは人間から聞いて、人間でさえ素晴らしいと思える魔族に私は託したいんよー」


 そう言われ、少し考えて、ラジアンの名を出しました。


「ほへー、なるほどなぁ、なるほどなるほど……その子が私よりも強かったら、あげようかな」


「それはなかなか……意地悪ですね」


「そういうな、私だって楽しみなんだ、私たちが戦って、そして世界が良くなる、私の長年の夢は、私が生きている間に成し遂げることは出来なかった。

なぜなら、私の父が、既にそれらを終えてくれていたから。

しかし、それならばその平和な時代がいつか終わった時に、どうしようもなくなった時に、私の手を貸してあげたかった、そしてそれが今来たんだ、私にも回ってきたんだ、父と母のように、何かをなしとげる時が」


 静かに、しかし熱く語る様は、正しくフブキ シュレンドそのものでした。


「この服なぁ、ナイリーさんが作ってくれたんよ、他にも話し方はランバートさん、勉強はよくメーラルさんが教えてくれて……それでな、戦い方は父と母に教えてもらったんや、やから、私は一番強くなりたかった……けどやっぱり、お父さんには勝てないや」


 そう言って私に笑ってくれたフブキ様は、あれです……無邪気な女の子でした。

ただの、父と母を愛してやまない、ただのどこにでもいる、当たり前の平和と幸せに包まれて。


 両親の友人にあらゆることを教えてもらい、そして今の自分があるのだと、それに深い喜びと、間違いない幸福感を抱いている。


 だから、その顔は、おそらく何よりも美しい。


 氷鬼フブキ シュレンドここに眠る

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