歴史に刻む【サクラ】
「……以上の功績を称え、冒険者『サクラ グランド』を、ミスリル級冒険者として、ここに称し、それにふさわしいギルドカードを授与する」
そう言って、王が私に、一枚のギルドカードを手渡す。
それを受け取る……同時に、辺りの人間から……いや今となっては魔族もいるな、から完成が上がる。
「新たな英雄の誕生だ!!」
「ピュー フォルテを超えてくれ!」
「がんばってー!どらごんさん!」
小さい子から、年寄りまで、私を称える声がまるでやまない。
『良かったね、サクラ』
「……あぁ!」
私がついに、ここまで来たんだ。
ついに、英雄になったんだ。
ラング、ライト、ナプラ……見ているか?お前たちのリーダーはここまで偉大になったぞ!
「……これからはどうするつもりかな?サクラよ」
「……無論、今よりも、更なる高みを」
いつか私は、あのフブキさえも超える……!
そして、夜……王と魔王が手を取り合った日の夜だ。
ネルカートの城でパーティーが行われた。
心地よい音楽、派手なシャンデリア、色とりどりに飾られた料理、そして、美しい衣服に身を包む人たち。
私の服はクレイアに選んでもらった……が
「ちょっと露出多くないか……?」
胸元はガバッと空いてるし、足だってこんなに……!?
「……グランド様でしょうか?」
私が自分の格好に驚いていると、私に声をかけてきたメイドが1人。
「?いかにも」
「……私の命を助けてくださったのは、あなたと聞きました。
私はあの日、あの場所で死ぬつもりでしたが、私は生き残りました。
我々のことを物語る、語り部として私は明日も生きて生きます」
そう言って、手に持ったワイングラスを私に渡してくる。
「もっとも、私はこのような格好ではありますが、本日は客として招かれております、いかがですか?英雄様、私と一曲踊って頂けませんか?女性もいけると、お聞きしましたもので」
その言葉に口に含んだワインを吹き出しそうになったが……その顔はなかなか、可愛らしい。
「……どこで聞いたかは知らんが、その身で味わってみるといい」
腰に手を当て、手と視線を奪う。
「慣れてますね」
「慣らされたんだ、私の今は亡き恋人に」
『心の中でいつまでも生きてるけどね!!』
「きっとあなたの心の中に生きておいででしょう……さぁ、音楽が流れますよ」
私もクレイアも、心の内を見透かされ、驚きが隠せない。
そのまま数曲踊り、今晩を共にする約束を勝手に取り付ける。
これもまた、クレイアの得意な技だ。
少し風に当たりたくて、夜景の見える場所にまで行き、ワインを口に含む。
当たりをパッと見渡した時……カルカトスが見えた。
あの日、クレイアに守られたあの日、私はカルカトスにボロボロにされた。
私は、勇気が足りなかった。
友を敵とみなし……その友を殺すことなど、私にはできなかった。
カルカトスは、私の中でなんでもない存在にはなってくれない。
そして、カルカトスも、同じだと思っている、
あんなにも冷たい目をしていたのに、私に対して、殺意がひとつもなかった。
私に『殺す』とは言わなかった。倒すとは言われた。
そして、そのカルカトスの横で、顔を赤くしてカルカトスに近づくラジアンの顔は、私にくっついてくる時のクレイアと、クレイアが近くにいる時に目に映る私の顔とおなじ……恋している顔だ。
『じれったい雰囲気だね!ちょっといやらしい感じにしてきませんか!?サクラ隊長!』
ならん、ああいう初々しい恋は、ゆっくりと眺めるに限る、いい酒の肴だ。
『私よりもイイ性格してるね、サクラ』
それは私のセリフだ……
さて、あの初々しいのを見ていると面白いな。
やはり少しちょっかいを出してやろう。
「カルカトスー」
「……っおぉ、サクラか、随分派手な格好だな」
確かに、赤ドレスは派手すぎる気がする。
しかし、ほら見ろクレイア、ラジアンのやつ、私にヤキモチを焼いている。
『見えてますぜ、隊長!』
なんかキャラが変わった気がするが……
「そうだろう?選んでもらったんだからな……どうだ?似合っているか?」
ラジアンの目には私は随分と大人に見えただろう。
ハイヒールを履いているからか、身長はカルカトスと同じかそれ以上。
服は……まぁ、ちょっとエロい気もするような服装で、酒を飲み、少し顔が赤くなっている。
「あぁ、似合ってると思うぞ、可愛い……って言うよりは美しいの部類かなぁ?」
「私の晴れ姿にそんなに曖昧な答えでいいのか?」
顎先を持ち、クイッと上げて挑発する。
すると、ほら見ろ!ラジアンがアワアワオドオドし始めた!
「……はぁ、とても、美しいと思うよ、サクラ」
胸に指しているバラの花を、私の服にさす。
「……まぁ、及第点だな」
その後、そこを去る時に後ろの方でラジアンが
「ねぇカル!私は!?私の方が可愛いよね!?」
そう言っていた……あぁ、いじらしいな……クレイアの気持ちが少しわかった。
しかし……
「……しかし……『カル』か……まるでアイビーのようだ……」
あの子も死んだと聞いた。
戦争は、やはり良くないな、月並みな言葉ばかりが思い浮かんだ。
さて、この後私はデザートにラヴハートを頼んでいるんだったな。
クレイア曰く、一妻多妻制を認めているらしいから、平等に色んな人を会いそう。




