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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、戦いの中で生まれる者だ
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愛の力

「アルグロウド!!もう貴様の負けだ!絶対にお前は私にもう勝てない!何故だと思う!?」


 そう問いかけると、さっきまで逃げていた私を追いかけていた速度そのままに掴みかかり


「わからんな!それに興味もなければ!お前は答えられん!」


 捕まえた私の喉元に食らいつく。

しかし、私の肉に、牙は決して通ってこない。


 だって、なぜなら、私を守ってくれる、最高に愛しい人がいるから。


「っぐ!?か、かた……!?」


 そうしてフリーズした瞬間に、爪で突き刺す。

そこから結晶が何本も何本も生えてきて、内側から完全に破壊をしようとする。

クレイアらしい、実にグロテスクで徹底的で、恐ろしい力。


『そんな言い方されたら私が怖い子みたいじゃん!?』


 事実、ラジアンとカルカトスには恐れられているだろ……

しかし、アルグロウドはその程度じゃまだ止まらない。


「っ!まだ!まだだ!!」


 そういって後ろに大きく飛び左肩からがちぎれる。


「俺と!お前の戦いの最後は!お前が父を超えた時だけだ!!」


 そういって、右足に着いているブレスレットが淡く光る。


「……魔法具か!?」


「正解!賢者お墨付きの魔法を!喰らいな!」


 そうして出来上がった魔法は……風魔法か!

しかも凄い勢いだ……凄い魔力と、それがこもった斬撃。

二つ以上の要因、クレイアの結晶を貫ける!


「っ!!ならば!私は!父を今超えて!アルグロウド!お前を倒す!」


 という訳で!クレイア!一緒に魔法を使ってくれ!


『っえ!?い、いきなりだね〜!?』


「『桜魔法(キルシュブリューテ)』!更にィ!?」


『私だよね!わかってるよ!』



 私は、足りないものばかりがあった。

カルカトスのような美しい形の才能じゃなくて。

ラジアンのように努力で才能を磨きあげられなくて。

ラングのように努力で形成できなくて。

ピューのように最強ではなくて。


 でも、それでも!私に隙間だらけの!スカスカの才能でも!

私は一人で戦うんじゃないんだ!私が背負った皆と戦うんだ!


 守れなかったことを後悔して……いる暇があるなら前へ!

勇敢なる者は!前に進める足を止めるわけには、絶対にいかない!



「『桜結晶魔法(キルシュリザシオン)』!!

『それは悪しき聖女であり!』『それは恐ろしいあの子でもあり!』『偉大なる父の背を追い!』『私が全てに追いつく日まで!』〈桜爆結晶(おうばっけっしょう)〉!!!」


「っ!ははっ!?声が2()()聞こえたぞ!?」


 空中戦、本来咲くはずのない、空に咲く満開の桜。

聖魔法、結晶魔法、2人の英雄の力があって、更に私の桜魔法。


「父の技だ、見覚えが、あるだろう?」


 そう言った瞬間、煌めく桜の花びらが爆ぜる。

そして、そこから飛び散った結晶が、更に桜を形成し……まだまだまだまだまだまだまだ!まだ!!爆破しろ!


「消し炭すら!消し飛ばしてやる!!」


 父も!母も!妹も!皆も!貴様と同じだ!生きた形が、何も残らなかった!

復讐は、何も生まない、空虚さを生むというのなら!


「お前には!何も残してやるもんか!!」


 爆破は、数分続いた。

そして、いつの間にかやんでいた。


 そして、嫌に静かなこの空で、私に声をかけてくれる人がいた。


『サクラー!おつかれー!!凄い魔法だったね!あれなら私も負けちゃうかも!?』


 いつもみたいに元気で、いつもみたいに、私のことを褒めてくれる。

そんなクレイアが、私にまた声をかけてくれる。


「ありがとう……そして、やっぱり……大好き………だ……」


 竜の姿のままに、地面に真っ逆さま……MP切れだ……!


「おつかれ、サクラ……ゆっくり休んでね」


 聞き間違い出ないのなら、確かにそんな声が耳に届いた。

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