再開 ダンジョン攻略
「よし、7層まで帰ってきた」
現在はLvが15になったおかげか随分と楽だ。
だが、7層に入り、ヘルハウンドと出会ったあの日に気付いた……ここからが本番だと。
あと3層先の休憩ポイントまで……そこまでが今の俺からすれば驚く程に遠かった。
「どうする?もっと進む?」
「いや、ここで少しだけ強くなってから次の階に行こう」
「ん、わかったよー!」
案外対処は上手くなった……罠も、わかるようになってきた。
この調子でどんどんと強くなって行ければ……俺だって、彼らに負けない『英雄』になれるはずだ。
その希望を胸に、ただ、敵を狩り、己を磨く。
そんな時、1つの塊の気配を感じた。
「……ん?1人だけの仮面の剣士……グエル、この人って?」
「んー?……あぁ、こんにちは、カルカトスさん」
「!グエルさん!それに……グエルさんのパーティーメンバーの方々ですか?はじめまして、こんにちは」
剣士2人、ヴェーラさんという後衛、盗賊風の身なりの女性の4人パーティー……バランスがいい。
……あぁ、駄目だ、最近直ぐに『どう戦おうか』という思考に陥ってしまう。
「おぉ!礼儀正しいねぇ、俺は『バンク』このパーティーのリーダーをしている剣士だ、よろしく!」
ギザっぽく茶色の髪をかきあげるこの人はバンクさんというのか。
「俺は……サブリーダーのクロルだ」
「あたしは盗賊のウェインだよ!」
「いやー!君の噂はかねがね聞いてるよ!
なんでも、ヴェーラの同期で、他の2人に比べれば見劣りはするけど、確かに凄い人なんだってね!」
「リーダー……喋りすぎです」
「っと、済まない、ところでカルカトス君、ここまで一人で来るのは大変ではなかったか?ポーションの残りとか、少ないんじゃないのか?」
「いえ、お構いなく、今のところポーションは6つのうち一つしか使ってないいませんし、このフロアの中ボスであるヘルハウンドは以前に倒しましたので、恐らくこの階層は楽かと」
「!ヘルハウンド、倒したんだー!すごいね!誰と一緒に倒したのー!?ぜひその子もスカウトしたいなー!」
ウェインさんがはしゃいだ様子でそう言う。
が、少しばかり違うから訂正しておこう。
「いえ?俺一人だけですよ?」
「!?1人で!?もっとすごいねぇー!ヴェーラちゃんが一目置く理由はそういう所にあるのかな!?」
「代わりに大怪我負って2日ぐらい休みましたけどね」
第7階魔石は、戒めとして持っておいたのが項をなした、倒した証拠として見せる。
「……ほう……凄いな本物だ……つまり、カルカトス君、君は我々が今探し回っているヘルハウンドを一人で狩ったわけか、凄いものだ」
クロルさんが冷静にそう言っている。
凄い凄いと褒めてくれて気恥しい限りだ。
「……なら、俺たちがここにいる意味ないねぇ……そうだ、一緒に8層行くかい?」
かなり魅力的な提案だ、あのヘルハウンドを絶対に倒せると準備してきたこのパーティーとともに未開の地を見ることが出来る……下見としては十二分に美味しい話だ。
「是非、お願いします」




