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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、戦いの中で生まれる者だ
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氷山の一角【ラヴハート】

「っ!ざ、ザン様!ここは!!?」


 そう言いながら、私、ラヴハートはザン様を追いかけます。

ここは凍ったサーラー跡地、不思議なところにございます。


 中央に高く聳え立つ氷山、登れば登るほどに、身も凍りつき、肺が凍てつく程の寒さを振りまきます。

この地の辺りは万年冬と聞きますが、世迷言ではありません。


「なんだ………しらないのか?………サーラー跡地だ」


「違います!なぜ!なぜ!」


 そう、なぜ、一体どうして私たちは


「この氷山を登っているんですか!?」


「なぜ………あれ……言ってなかったか?」


「えぇ!『行くぞ』と一言、お声をかけて頂いたばかりです!」


「……すまん………説明するのを………忘れてた」


 忘れてたでこんな殺人的絶対零度の空間に丸腰で投げ込まれたのですか!?


「ここは、氷山。

………知り合いの研究家がいてな………そいつが……山の中に………強い何かを………見出した」


「つ、強い何か?人ですか!?ものですか!?」


 声を張り上げねば、暴風の中に声が溶ける。

あれ?そういえばなぜザン様のボソボソ声はどこにいても聞こえるのでしょう?


「それすらもわからん……あいつは…………凡人であったが………友と呼ぶに相応しかった」


「きっと!ろくでもない人間ではありませんか!?」


「……わかってきたな………それでだ、この氷山、恐ろしく硬いのだ」


「だから登山道具が何一つないんですね!!納得です!

では今度来る際は防寒具の着用を許可していただきたいです!」


「なるほど……お前のことを考えてなかった……悪い

でだ……この山の上に………この山の上で、何かをすれば………恐らくソレは姿を現すだろうな」


「ちなみに、憶測は!!?」


「聖剣……氷魔王の………友の……剣」


「5000年前のですか!」


「あぁ……面白いじゃないか」


「ですね!では!何をすればいいのですか!?」


「思いっきり…………一点を叩く」


「それが正解ですか!」


「違う、答え合わせに行く」


 おぉ、神よ……いえ、この人は神をも恐れぬお方でした……

なら、私は一体誰に助けを求めれば?


「着いたな」


「意外と!は、はは、早いですね!」


「………その………なんだ………済まなく思っている………ローブを貸そう」


 随分とらしくない!私にローブを貸してくれました、そんなことをされれば、少しは寒気も収まりました。


「………ラヴハート、貴様……語学はどうだ?」


「はい?語学?まぁ、ほとんど行けますが……どうされました?」


「この字が、僕にも読めない…………少し見て見てくれ」


「はい?分かりました」


 おぉ、私いらないと思ってましたが、いりますかね!?


「これは………5000年前のある地域で使われていた言葉……それも、随分と訛りや、字体が特徴的ですね。

ザン様程のお方でしたら『第二インセント語』で分かりますか?」


「あぁ…………あるな、聞き覚えは」


「では、私の方から読ませていただきます」


『真の意味で世界に平和をもたらす者よ

誠の勇姿を心に刻む者よ

自己犠牲の志で正義をなそうとする者よ

我は氷魔王と赤鬼が娘、汝ら誠の正義を胸に、父の氷山に熱をくべよ

さすれば我は汝らに力を貸そう』


「……ですね」


「………わかった………なんだ、おあつらえ向きだ…………我々の目的は……?」


「魔族の人間の共闘により、我々皆殺されることにより、世界平和の犠牲となること。

後に六つの罪を犯す我々の名を『六罪(アルマティア)』」


「そして………ただ一つの正義の元に…………」


 剣聖が楽しそうな顔で話した空想が、美しかった。


「……心の熱なら…………僕が一番燃えている」


 1番冷めていそうだが、人間分からないものだ。

手を地面につけ、瞳を閉じて、熱い思いを語っているのだろうか?


 氷がジュワッと音を立てて、赤い怪腕が姿を現した。


「熱い思い、確かに私『フブキ シュレンド』受け取ったで。

5000年の眠りを超えて、父のようにタイムスリップ完了や。

君たち『六罪』に力を貸すわ。

しかし、絶対に私を信用せんことや。

私が身体を凍らせて強制的に時を超えたこの魔法は、身体への負荷がとんでもない。

私の寿命は後1週間、そうと決まれば、君たちと合わせてや」


 まくし立てるように、急ぐように口を動かした彼女は、話に聞いたあの英雄だ。

最強の魔王と、最凶の鬼の子。

そしてその話し方は、最凶の鬼を思い出させるが、有無を言わせぬ圧は本物の魔王レベルだ。


 和装を身にまとい、処女雪のように真っ白で、椿のように真っ赤な瞳。しかし、透明な角と赤い角、それよりもその顔に目がいった。


「一週間……か、わかった…………君には…………最強の冒険者と………あと【七十層の守護者(セブンスガーディアン)】を」


「ふむふむ、わかったわ、まかせて」


 ことも何気に受け取ってくれた。

戦いの地を伝え、その地で来た敵を殺してもらうことになった。


「へぇ!みんな凄い仲間がおるんやなあ!鬼は今の時代何しとるんかな?」


「今ではインセントの国で皆様頑張っておられます。

我々のしていることは正しいとは言えませんが、しかしそれでも、きっと平和になるのです。

犠牲無き平和を求めるほど、我々は愚かでは無いのですから」


「やな『綺麗事を言ってたら、ただのでかい子供』や」


 おぉ、なかなかに鋭い。

そして、書いてあった一人称の『我』は雰囲気を持たせるのと、父がかっこよくて仕方なかったらしい。

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