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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、戦いの中で生まれる者だ
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孤高な調律者【アイラ】

「……っお、世界征服……」


 昼下がり、牧を割りながら今晩の夕飯をどうしようかと考えていたが……何やら物騒なワードが飛んできた。


 おっと失礼、私の名前は『アイラ ブラムドレイ』はっきり言って、世界で1番強い存在だよ。


 冒険者は少し前にやめたよ、だから最強の冒険者の座は渡したよ。

ん?誰に話しかけてるの?って?


「君だよ、そこの君、初めまして、アイラだよ」


 他の人から見れば、私は何をしているか分からないだろうけど、君たちには、わかるね?


「そーだなぁ、私はこの戦争には参加しないようにしているんだ。

大いなる力には、大いなる責任が伴う。

そんな言葉は腐るほど聞いたからね、私は責任重大なわけだ。

世界には、足りないものが実は多いじゃない?

『万病に効く万能薬』や『間違いない悪役』とか『絶対的な正義』だったり『絶対』も持っていない『平等』も……

だから、私は常に平等を重視しているんだ。

世界のバランスを、上手く保ちたい、完全じゃなくていい。

それが例え不平等でも、私が平等といえば、それは平等、争えば、必ず勝者と敗者が生まれるんだから」


 ま、これは私の自論だから、適当に聞き流すもよし、あ!座右の銘にしてもいいね。


「さて、私は一体どうしようか?

私の所に誰かが来たら撃退……それぐらいが1番バランスが取れてるかな?

アル……なんたらも、人も魔族にも、同じ条件を課してるし」


 そう言いながら私は、山奥の、小さな小屋に牧を背負って帰る。

はした金で買った、二束三文の生え散らかした山を買い、そこに小さな小屋を立てた。


 ネルカートから遠くて、ヘルヴェティアからも遠い、とある小屋。

世界中のみんなが私を血眼になって探したところで、山奥にいる誰かが私だとは誰も思えない。


 だって、隣人の、そのまた隣人の、はたまた更に隣人の顔に、興味を持つ人はいるのだろうか?

いるかもしれないね、けど、いないかもしれないだろ?


 僅かな可能性の隙間に、私がいるかもしれない。

私は、剣を振らなくても剣聖より強い、魔法を学ばなくても賢者よりも上手い、どんな勇者よりも正義感があり、どんな魔王よりもどす黒い。それが私としか言いようがないなぁ……


「へ?何者って?……なにもの?かぁ?」


 むむぅ、それはそれは難しい質問をするねぇ!


「えぇー、カミサマってのはひねりがないしダサい、天使よりも私は可愛いし、魔神よりもかっこいいからなぁ?

私は……孤高な者としか?」


 ま!私は凄いから、好んで孤高なんだけどね。


「料理はどこの宮廷料理人よりも素晴らしいよ、歌は誰よりも上手いし、ほんと、非の打ち所がないよ」


 両手をひらひらさせて、我ながら呆れるほどに凄いなぁ


「でもま、たまには暴れたいし、ちょっと戦うのもあり?

ちょっとヤバいやつもアルなんたらにチラチラいるし……ペルソナって言うんだ、こいつ」


 ヤバいね、こいつ、ピューでいい勝負かな?

多分今このペルソナに勝てるかもなのは、魔王と、ピュー、後は……無限の可能性のサクラと、私の思い通りにならないカルカトス、あとはラジアンとか、ラング君も、生きてたら行けたか?

……ま、結果なんて見えきってる。

こんなにやばい7人が、わざわざ世界征服宣言するかなぁ?


「まいっか、どこら辺で遊びに行こっかなぁ?

っと、これはこれは、珍しい、お客さんだ」


 さっき孤高ってカッコつけたのに人が来ちゃった。


「あらあら、君はアレだ、カルカトスの家族のアンか、見えてるよー可愛いねほんと、私ほどじゃないけどさ」


「っ!わ、私が、見えるんですか?」


「正しく言うと見えてないね、見えない理が君なんだから。

でも私はそれよりも上だから、仕方ないの」


「貴方をずっと探してました、私の、ささやかな願いを」


「グリムと一緒にこっそり旅をして、気がわかったのかい?

それとも、やっぱり今は死にたい気分かな?」


「ですね、カルカトスだっていずれ化け物になれるけど、私はもう化け物……居なくなっても気づかないだろうし。

だから、ひっそり死にたいの、あぶくみたいに、死にたい」


「へぇ?面白いお願いだ、聞かないではないからね、それも私の仕事だし」


「あなたはなんなんですか?それだけ教えてください」


「えぇ?私はね……あ!いい例え思いついた!『理の調律者』これどう?かっこいいじゃん?」


 そういった後に、泡みたいに死んでもらった。


「えぇー、変な頼みだったなぁ……ま、いっか」


 アン、ちゃんと会える日も来るだろうに、でもまぁ……よくここまで耐えたよ。

シュプ フングのしくんだ強制的な喪失感、そして、自殺欲によく耐えたねぇ。


 いや、自殺できなかったんだろうね、君は強いから。

理から、外れた存在だったから。


 どうせ泡みたいにいつかみんなの記憶の中から無くなるなら、生きてる間に死にたいだろう。


 でもカルカトスだけは君を覚えてるんだろう。

だって彼だって理から外れているし、何よりも、違う。


「ん?何の話って?そりゃあ秘密事だよ、だから秘密」

ラング、今回死ななかったら、可能性ありましたよ。

でもそうなると今度はサクラの自尊心を傷つけるルートになるし百合ルートは消えてましたね。

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