危機一髪【ラジアン】
「……やば……」
ああ、私はここで死ぬのだろうか?
カルカトスの、その隣で完璧にくたばるだろう。
目の前から迫り来るこの槍たち。
死ぬのなら、タダでは死なない!
胸元に伸びる針、胸の前に輝石をもってくる。
辺りの針はどう頑張っても逃げ場はない。
けど、順番だってある。
これが刺さったあと、横腹から来る剣がこのまま私に刺されば、体内に輝石がねじ込まれる。
「いっ………」
『痛い』と言う前に、私は即死的に意識を失った。
「っお?オォ?コレはこれハ、珍しい……というカ、君は……誰カナ?」
変な声が聞こえる。
あの世の言葉ってこんな感じなのかな……だとしたら間に合わなかったんだ……
「ッウワァ、君オンナノ子なのに、凄イハレンチなカッコうだね」
そう……これはなんだ?楽器の化け物?が私に言ってきたので自分の体を見てみる。
「っうわぁ!?ちょっ!?みないでっ!?」
「あぁ、モノだと思ってモラッて構わないヨ」
穴だらけだ、しかも私の結構大事な所も普通に穴空いてる!?
横からも前からも、普通に穴空いてるの……い、いやーん
「……生きてたら冗談のひとつでも言えたのになぁ、私天国行けそ?天使さん」
「……ん?テンシじゃないヨ、キメラさ」
「……え?あ、じゃあ私間に合ったんだ」
「ん?……あぁ、もしカシテ死にかけのタイミングで輝石をネジこんだのかな?」
「うんうん、そんな感じー!私生き返れるかな?」
「ま、まぁ、ちょっと時間かかると思うけど、いってシマエばズルのような方法デこの世ニ滞留デキルかな」
「?ずる?」
「ソ、我々と話をしてる間はイキテる、だから、君の自然チユ力にかけて時間をかけて回復スル
まぁ、その間にカラダがボロボロになったり、何かでチャント動かないようにコテいしないといけんだろうが……
その間、色々教えヨウ、それが守護者ダ」
「え?別に知りたいことはないかな……そうだ、強くしてよ、私を」
「……ま、マァいいよ、ソレジャ教えるよ……まずはだね」
その後様々なことを教えてもらった。
そして、戦っても貰った、とても強かった。
名前も聞いてないけど、お互い不思議と名前を呼び合わなかった。
18時間ほど話を続けて、私の闇魔法について色々と深めてもらった。
「というワケだ、ソウイウ使い方をカラミスはしていた、やつこそ、最もオソロしい」
「なーるほどね、その使い方いいね、もっと色々応用したら固有スキルにも負けないかもね……」
「ダロウナ、極めた闇魔法は言わば、ヒトデ言うところの聖魔ホウ、そしてその才が君にはアル」
「おぉ!ありがと!……っし!これで私も傷が癒えたかな、ありがと、私を助けてくれて」
「おやすいゴヨウだ、英雄なのダカラ」
かっくいいー!
「じゃあね、キメラの英雄、私は行くよ!」
「あぁ!行くといい!君は、カラスミを超えられるさ!」
最後はやけに流暢に話してくれた。
『……ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!』
力強く、ドラムのように強い音が胸から鳴り響く!
高鳴ってる!私の胸が!貫かれた胸が!
「……っずおりゃあぁ!!」
何故か埋まっていた私の体を地面から飛び出させて、空を見る。
「生きてる!奇跡!ひゃっふぅううー!」
ガッツポーズ!私!最高!生きてるって!爽快!
そして、体のうちから力が溢れてくる!
胸を叩いて、爆音の心臓を収めたい!……無理!
「ラジアンっ!!!
「ラジアンっ!おまえっ!!!」
横から、全く気が付かなかったけど、2人飛んできた。
カルカトスと魔王ちゃん。
「っ!2人とも!迎えに来てくれたの!?ありがとう!!
私……帰ってきたよ……ありがとうみんな……私幸せ!」
「っ!……ごほんっ、無事で何よりです、良かったです」
咳払いをして威厳を取り戻そうとする魔王ちゃん。
顔が赤いし、今にも泣き出しそうだ。
そして、カルカトスは私を強く抱き締めてそのまま動かない。
私も、カルカトスに抱きついたまま、動けない。
そして、また心臓がバクンバクンと音を鳴らし始める。
音が、以前よりも大きくなってる気がする?
「……っ!!か、カルカトス!ちょっと離れて……!」
顔がおそらく今すごく熱い、真っ赤っかだろう。
『代償を取り戻すに足る力を手にしました。
あなたの恋心を返却します』
あわわわわわわ!?こ、ここっ!?恋心っ!?
そーだ!師匠に代償で交換してもらって……帰ってきたんだ!私の恋心!
「か、かかっ!カルカトス!!」
そう言って、カルカトスの方を見るも、カルカトスは両手を目にやっていた。
「……何やってるの?カルカトス?」
「……っバカ……」
「ごほんっ……ラジアン……あなたの……服……ごほんっ」
小さな声で囁かれ、私の服を見直せば……ほとんど全裸と変わらない。
むしろ穴が空いてる分センシティブ……じゃない!!
「……っ!?!か、カルカトス!見ないで!私今やばい!」
「だから目瞑ってるんだろっ!?ばか!俺の服も穴だらけたがら変えて貰ったんだよ……魔王様、適当な服を……」
「……任せて」
魔王様がアイビーの……今や私のローブを渡してくれる。
「あ、あはは、ありがと……わわっ!?」
風が吹いた途端、服がずり落ちて、ボロボロと落ちていった。
「……おまっ……はぁ……帰ろっか、みんなのヘルヴェティアに」
「……やだ、ちょっとまって、私こんなんじゃ帰れないよ!恥ずかしすぎる!」
「「乙女みたいなこと言わない!」」
「私乙女だよ!?」
全裸にローブとか私は一体いつからそういう趣味に目覚めたんだ!?
とりあえず、すぐに魔王様に帰してもらった、良かった〜




