おはようとピクニック
「……っうぅん?」
ここは……宿屋……?ではないな……
とりあえず起き上がろうと、体を持ち上げる。
「……確か……俺は……あぁ、思い出してきた」
頭の中にまばらに巻かれたピースを頼りに、記憶をとりもどす。
「……シアさんが、看病してくれていたのか」
それは、椅子に座りながら、ベットに突っ伏しているシアさんを見るに、わかった
「……あ、カル、おきた!!」
『エンか、おはよう』
「もー!カルが気絶したから私への魔力供給も絶たれてたんだよ!?」
『まじかよ!?大丈夫だったのか!?』
「一応眠っている事によって使用する魔力を減らしておいたから大した影響はないけど」
『そんなこと出来たんだ』
「まぁ、奥の手だけどね」
なんて会話をしていると、日が顔に当たったからか、シアさんも目を覚ます。
「………んんう……あっ!カルカトスさん!お目覚めになったんですね!おはようございます」
「はい、お陰様で助かりました……本当にありがとうございます」
顔に付いている仮面とローブを触り、バレていないことと、寝ている間に見られていないことに安堵する。
「お腹、空きましたよね、朝ごはん、作りますので、ちょっと待っててください」
「あ、朝ごはんまで……ありがとうございます」
こういう人の好意は素直に受け取るべきだと思っている。
朝ごはんはパンとベーコン、タマゴにレタスの一般的な家庭の朝ごはんだ。
「……!うん、これ、美味しいです!」
仮面を少し上にずらし、その下から口だけ出してパンを食べる。
「ふふっ、そうですか……ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそですよ」
「……カルカトスさん、今日暇ですか?」
「……そうですね、暇ですよ?」
「なら、今日はピクニックに行きませんか?
久しぶりに1日全部が暇な日が取れたんですよ」
両手をパンっと合わせながらそう言う。
「へぇ、ピクニックですか、いいですね、行きましょう!」
「!良かったです!では、すこし準備してきますね!」
そう言って部屋を出て、ドアの隙間から、彼女の部屋らしいことがわかる部屋に入り、少し遅れて顔を出して。
「あ、少し着替えますので、少々お待ちを」
そう言って、バタンとドアを閉める彼女だった。




