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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、戦いの中で生まれる者だ
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苦悩【フランチェスカ】

「……っ、はい!!こっち空きました!次!」


 ただでさえ人数の少ない魔族側の戦力、あの爆発は私達からたくさんのものを奪い去った。

私が生きていたのはただただ運がいいからに過ぎなかった。


 しかし、魔族の治療は非常に難しいのだ。

『光魔法で治せば?』と思われるかもしれないが、それは私たちの弱点でもあるのだ。

獣人ならそれでいいんですけど、そもそも白魔法なんて誰も持っていません。


 強いて言うなら、カルカトス様が持っていたので、獣人の方は彼に回しています。


 なら、魔族はどうやって傷を癒すのか。

ほとんどがその高い自然治癒力を元にして寝たり、休んだりして自力で治します。


 それな難しいほどの重傷の場合は、基本的に薬草などを使ったポーションを使用します。

そのストックごと吹き飛ばされて、あとは地下に貯蔵されていたぶんと魔王城の蓄えのみでした。


 薬草への知識を持つものもかなり少ないですし、魔族には魔族のポーションが必要なのです。


 死ねばみな光の粒になり消えていきます。

それは体内の魔力の割合が他の種族と比べて圧倒的に高いから

自然にかえっていきます。


 そして、私が苦しいのは……やはり助けられない人達があまりにも多すぎることです。


 もう、生と死の瀬戸際にたっている人達は、それを癒すためのものもありますが……それは吹き飛んでいますし、作ろうものなら、その間に何人も死にます。


 まして、そのポーションの作成には特殊な機材や、手順を理解して精密な調合を行わなければなりません。


 魔族は他の種族に比べて圧倒的に優れている代わりに、こういった不便が生まれてきます。


 そこで私たちに課せられるのは『命の優先順位』


「俺の友達が!」


「私の彼氏が!」


「息子の怪我が酷いんです!」


「俺は……いいから……姉さんを……!」


「助けて!私……まだ……やだ……!」


 各々が言葉を吐く、内容は違えど、命を助けてやりたいですよ。

でもこんな緊急事態、私は命に『優先順位』を付けないといけないのです。


 全ての命は、敵も味方も等しく平等と考えていましたが、私の考えの甘さが如何程のものなのかを痛感しました。


 今となってはこんな阿鼻叫喚の地獄を生み出した誰かが憎いですし、今助けられない命に、順位をつけるなどという不平等を押し付けないといけないということも。


 私は自分が情けなくて泣いてしまいそうですが……私が泣いてしまっては元も子もありません。


 やるのですフランチェスカ、あなたが泣く暇があれば、何人が助けられますか!?


 私一人で皆を癒しているんじゃないんですから、みなさんで、この方々の明日を繋ぐんです。


「……この人はもう助けられませんね…………っ………次の人!お願いします!」


「待ってくださいよ!俺のダチはまだ息してますよ!こいつが死ぬわけ………!」


 しかし私はそんな彼に力無く首を振るしか出来ないんだ。

歯がゆい、悔しい、


「ごめんなさい……ごめんなさい………どうにもできないんです……!」


 謝るしかできなかった。


 次に送られてきた人は……うん、骨折か。

魔族の治癒能力ならそう治るのに時間はかからない。


 動かさなくてもいいように包帯を巻いて、安静にするように伝えて家に返した。


「!ナルヴァー様が帰ってきたぞ!!」


 ナルヴァー様は、この国のほとんど残っていない食料を外から取ってきてくれる。、


 果実に、動物に、魚に……流石は四天王の方々、みな素晴らしい。


 ディスターヴ様は精神の安定に大きな一役を買ってくれています。

体の部位を欠損した方々の心の支えになっています。


 エンブラー様は、ほとんど無事な自分の屋敷から布団などを引っ張り出してきて、テントを貼るのを手伝ったり、ここに人を運んできてくれたり。


 魔王様はとても素早く国内を動き回り、けが人を見つけては私の元に送り、助けられるかどうかを私に問いかけてきた。


 時折、表情を曇らせる答えをすることになってしまったが……どうしようもないんです。


 爆破事件の犯人は一体誰なのでしょうか?

犯人が分かったらカルカトス様やラジアン様がきっとやっつけてくます。


 そしてまたこの日を忘れてしまえるほどの平和な日々は訪れるのでしょうか?


「つぎぃ!はやく!」


 そんなことよりも、まずはみなさんを助けなくては

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