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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、戦いの中で生まれる者だ
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火竜

「……ん?貴様、何者だ?見ない顔だが……」


 そんな横柄な話し方をする赤い竜人……いやこの子は……竜か?


「……お前は、サクラ グランドか!俺の名はナイト!新人の冒険者だ!」


「私はラーン……同じく新米です、よろしくお願いします」


 向こうは1人か?メンバーが来ていないのだろうか?……いやこの顔と名前はカルカトスがくれた冒険者名鑑に書いてあった……


「そうか、いかにも私はサクラ グランドだ……まぁ、頑張れ」


 どこか元気がないように見える……いやその理由はカルカトスが原因なのだろう。


 それがわかっているからか、カルカトスも声をそれ以上欠けることなく、飯を食う。


 今日は少しだけ噂だったりとかを聞き集めた。


『戦争が起こるのはほぼ確実、今日の朝宣戦布告の手紙が届いた』

『それによると以前に交流と攻めてきたカルカトスは四天王の一人らしい』

『王様は影武者だった』


 色々と助かる話が聞けたが、やはり暗殺は失敗していたらしい。

困ったな、やはりまだ情報が漏れている。


「どうする?ナイト……?」


「……いや、なんでもない……」


 協会の方を見たまま少し動きを止めて、また歩き出す。

どうしたのだろうか、あの教会に何思い出があるのかもしない。


 カルカトスは、私たちと違って、この国に思い出がある。

苦くも甘く、いい思い出があっただろう。


 それらを投げ出して、私たちのために戦ってくれる。

ヘルヴェティアにはあまり長く滞在していなかったが、それでも確かに私たちの仲間でいてくれているんだ。


 その理由はなんだろう?ただ人間が嫌いだからなのか?それとも私たちが好きだから?もしくはその両方か。


「……カルカトス、辛いのならやめてもいいんだよ?」


「……俺はナイトだ……そんなに簡単に名前を出したら疑われるだろ」


 そう言って私の目も見ずにそう言った


「……嫌ならそう言ってよ?」


 そう言って答えなかったところを再度問いかけた。

この答えを出すことがカルカトスにとって辛いことかもしれないけど、それは今だけなのだから。


「……大丈夫だ、もし今を嫌がって後に伸ばしたら、きっと俺はその後に死ぬほど後悔する。

全てが終わったあとに、俺だけが何も失わずに息をする気は無い」


「わかった……なら、頑張ろう」


 今日も迷宮に潜った。

適当な攻撃を受けて、適当に敵を倒して、そして……そして


「……いくぞっ!」


 カルカトスの合図とともに一組の冒険者を襲う。

私達二人にいきなり襲われたんだ、あっという間に死んだ。


 適当なところに放置して、モンスターが食ったのを確認したあと地上に帰ってくる。


 今日もその日暮らし程度の金を手に、宿へ帰る。

昨日の傷が少し残っているのを見せるために、体には包帯を巻いているが、その下は傷一つない。


 夜食前にカルカトスは帰ってきた。

私よりも少し遅くに帰ってきたカルカトス。


 カルカトスの目は、酷く濁っていた。

きっと何かを確信している。

大切な人を失うことの覚悟や、仲間を失う可能性も、頭の中で何度も反芻して、その後で、私と今日も話して、魔王様に定期報告もする。


 ネルカートと魔界の戦争に、ネルカート側にソウルド、ハリスも付き、インセントは中立の立場を維持するとの事。


 魔界、人間界両方の戦争に乗り気でない人々は一時的にインセントで匿うとの話も出ているらしい。


魔界側では残念ながら協力的な国はなく、恐らく三体一ぐらいの戦力差が生まれるだろうが、それを以下に覆すか?


「………なにか作戦があるの?魔王ちゃん」


「ないことも無い……ですね、それは簡単です。

ことある事に私が出張って、全て殲滅させる、それだけです」


 全て1人で蹂躙すると宣言した。


 そして、それが出来ない魔王では無い。

まだ幼い?それは果たして弱いという理由になるのだろうか?


「わかったよ、魔王様がそう言うならきっとうまくやってくれるはずだからね、ラーンも、安心して俺たちは動こう。

斥候も片っ端からやっつけてください、そうしたら、もっと大規模な行動をすると思います。

その時に、俺とラークが……本気でやります」


「私も、もう不平等だからとか、言い訳を並べるのはやめて……理不尽と言われても構わない、ただただ敵を倒すよ」


「ありがとうございます2人とも、ディスターヴやナルヴァーも張り切っています……無論、エンブラーも、もう躊躇いはしていません、現在こっちではソウルドの騎士たちとかなり激しい戦闘となっていますが、剣聖が未だ出てきていないので優勢と言えます。

私達も今夜勝負を仕掛けようと思っています」


 なるほど、ディスターヴの固有スキルは集団戦で輝くし、ナルヴァーの固有スキルも手数が多い、上空から爆撃すれば確かに戦える。

エンブラーさんは前を切り開く力、先頭に立つことで真価を発揮する圧倒的な戦闘力の持ち主、そして、魔王ちゃんの固有スキルがあれば……一晩で落とせるかもしれない?


 しかし、なら剣聖は今どこへ?


「魔王様、攻め入るなら今夜が狙い目です、ソウルドに今剣聖はいません」


「?なぜそう言いきれるのですか?」


「あの人は今ネルカートにいますから」


「へっ!?いたっけ?」


「今着いたみたいだよ、剣聖も聖女も、各国の王は、王の代わりとしてここに送っていた、明日の朝までに各国で手を取り合って行く話を進めるらしいが……人間なんて醜いよ、どうせ自国の利益を求めて話し合いが長引く、そのすきに、ソウルドを、どうか叩き潰してください」


「……カルカトス、あなたに辛い思いをさせますが、それでもありがとうございます、必ずその情報、無駄にはしません」


 そう言い残して連絡を切る。


「カルカトス、どこでそんな情報を?」


「今日気になることがあってな、船の時刻表とか、色々独自に調べを入れてきた、すると色々見えてきてな、何よりもこの予約の紙と、街の騎士の多さが物語っている」


 いつ奇襲が来るとも分からないだろうからこのレベルの警戒は妥当だろうと考えていたが……なるほど確かにおかしいと言われればおかしいか


「後悔は決してしない為に、今を全力で生きるよ」


 決意の籠った眼差しは、やはりまだ濁っていた。

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