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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、戦いの中で生まれる者だ
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潜入開始【ラーン】

「……着いたね、ネルカート、久しぶりに来たけどあんまり変わってない……いや、あそこ抉れてるね」


 そう言って私は指さす。

そこはナルヴァーが突撃したところだろう、凄まじい跡だ。


「だな、暗殺の話の噂も確かめてみたい、とりあえずギルドに行こう」


 ここはカルカトスの行っていたところで、ナイトが行くの初めてだ。


 扉を開くと、当たりが静まり、そしてこちらをいっせいに向いたあと、見ない顔に興味を示す者と無名の私たちに興味が失せた人達に大きく別れた。


「……迷宮探索の手続きがしたいのだが……ここであっているだろうか?なにぶん初めてなもので」


 そう言って受付のお姉さんに声をかけるナイトは少し落ち着かない様子で、それでいて楽しみだと言った顔で、いかにも初心者らしい面持ちで声をかけた。


「はい、こちらであっています、ギルドカードの提出をお願い致します」


 私のカードを渡して、それをまとめて出す。


「ありがとうございます……出身はインセントですか……シルバーランクですね、はい、ランクの確認等出来ました、お返し致します」


 そう言って返されたギルドカードを分配するナイト。


「そうですねぇ、現在ある程度整備されてきていますし、転送装置等の機能も各階層の階段近くに置いてありますが、これは迷宮内でしか使用できない上に、ギルドカードがなければ使用できない機能ですのでお忘れないように。

1~10階層を探索される場合は解毒薬の準備をお忘れなく、お気をつけて」


 随分と丁寧に説明されたあと、私はナイトに連れられて迷宮へ行った。


「……っさて、途中経過報告を魔王様にもしておいた。

だいたいシルバーランクなりたてで、それも初めての挑戦となれば……そうだな、下級魔石……第10階レベルを5〜10ぐらいあればまぁ、普通だな」


 なるほど、流石に迷宮最深部探索者の言葉は確かなのだろう。

そして、1~10層は以前に比べて随分と楽になっているとナイト……いやこれはカルカトスが説明してくれた。

今や魔石を収集できる立派なネルカートの産業事情に大きく貢献しているらしく、魔法具の発展に大きな助けとなっているらしい。


 十階層は完全な休憩スペースとなっていて、そこでは携帯食料や解毒薬、水などのあると助かるどころが、なんなら地上の医療所へ行くよりもこっちで適切な処理をしてもらった方が早いのではないだろうか?

聖職者の人たちも何人かここにボランティアでいるらしいし、その他にもアカデミーの試験や、そこの生徒たちの自主練場としてかなり重宝しているという話を聞いたことがあるというカルカトスから聞いた。


 さすがにそこらへんの知識は私を遥かに上回る、本当にこの迷宮に真剣に取り組んでいたんだということが伝わってきた。


「さて、これがだいたい平均ぐらいだな、あとは適当に怪我をして、道具やで買った解毒剤を少し使って、らしい格好で帰ろう」


 適当な攻撃を受けて、なかなか痛いな……流れた血を洗い流して、解毒薬を塗るものや、飲むのも使って道具やで買ったものの3分の1程度を使う。


 およそ3時間ほど潜ったあと、地上に上がってきてギルドに戻る。


「お疲れ様でした、あなたがたが帰ってきたのでサインの横にチェックをお願いしますね。

魔石は取れましたか?取れていましたらあちらの換金所で監禁してもらうもよし、思い出として取っておくのもありですよ」


 確かカルカトスは初めて戦った中ボス?の魔石を取っているらしい。


「……私は一つだけ取っておく……ナイトは?」


「俺は換金するかな、今日の宿泊代とかに当てるよ」


「……ん、わかった」


 確かにはした金にしかならないが、需要も下がってきたからだろう。

これだけで生活を繋ぐのは難しくないだろうが、贅沢をするにはカルカトスのように深いところに潜る他ないだろう。


「すいません……ただいま一人部屋しか空いていなくって……」


「っへ?そうなんですか?」


「はい、それも1つしか……少し狭くなるかもしれませんがよろしいですか?」


 宿屋でそんな話をもちかけられた。


「別に構わないけど……どうしてそんなにいっぱいなんですか?」


「以前の黒竜の襲撃によって、この国……街の外れの家が壊滅したりして住処をなくした人達が泊まったりしていますね」


 なるほど、こういったところで住処を奪うと確かに人が1箇所に集まってしまうのか。


「なるほど、あの噂は本当なのか……ありがとう、それでは一部屋借りたい」


「かしこまりました」


 その後一部屋を借りて、魔王ちゃんへの報告をした後、帰ってきた指示は


「やはりまだ不明瞭な部分が多いですね、カルカトスについてなにかしれましたか?」


「もう俺は立派な指名手配犯ですよ、それに、ナルヴァーもですし、街の会話はこれから起きるであろう戦争への恐怖や、不安でした」


「なるほど……明日の朝、ネルカートに一通の手紙が届くことでしょう。

宣戦布告の手紙です。

そこには各四天王の名も乗せているので、そこでカルカトスが四天王だということもバレるでしょう。

しかしそうなることであなたとバレた時の攻撃の苛烈さは増すことでしょう」


「大丈夫です、それでは、そろそろ夕食の時間ですので!また後で」


「そういえば宿でしたか、商事の時間が決まっているというのはなかなか息苦しいですね、行ってらっしゃい2人とも」

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