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ギャンブラー

「……ちっくしょー!負けてしまったぞ!カルカトス!!」


「だなぁ、2回戦敗退かぁ……いや実質決勝戦だった訳だが」


 少し肩を落としつつも、戦えたことに喜びを感じていた。


「お!2人とも!」


 そんな俺たちに声をかけてくる人がいた。


「あ、ハルマさん」


「む!剣聖か!」


「やぁ、2人とも良く頑張ったね!あんな面白そうな魔法まであるだなんて、実に楽しませてもらったよ、ありがとうね!」


 そう言われて、俺とサクラは目を見合わせ、可笑しそうな顔をして


「こちらこそ、ありがとうございました、今度また指南してくださいね」


「同じく、深く感謝している」


「ははっ、ありがとう。

君たち、明日にはここを発つんだってね?」


「?誰からそれを?」


「んや、そんな顔をしているからね、ところでだ、娯楽島に来たわけだ、賭け事で遊んでこないか?」


「……ま、ちょっとだけなら」


「だな、面白そうだ」



 そう言われて、外見からしていかにもギャンブルをやっていそうなギラギラ光る建物の中へはいる。


 タバコの匂いと酒の香り、響く声と紙のすれる音、そして金の動く金属音。


「いらっしゃいませ」


 そう言って頭を下げる髪の整えられた男。

今の俺たちの服装はまぁまぁ小綺麗なもので、俺は黒スーツ、サクラは赤いドレスを着ている。


 一丁前に化粧をして唇が赤く艶めいている。

これもハルマさんが準備してくれていたもので、ドレスコードのようなものでもあるのかもしれないな。


「サクラ、何をする」


「悪いが私は賭け事をしたことがなくてな、ルールも何もわからんのだ」


「おぉ、そうなのか……ならそうだな」


 そう言って辺りを見回したあと、手元のパンフレットを思い出す。

簡単そうなゲームは……っと、こいつにピッタリな娯楽がやっていあるみたいだな


「地下に行こう」


「ちかぁ?」


「あぁ、ルールは簡単だ、どっちが強いかを当てるんだ。

赤が勝ちそうなら赤に、青が勝ちそうなら青にかけるだけだ」


「っなるほど!つまり私の目が試されるというわけか」


「ま、そういうことだ」


「そうと決まれば地下へ行ってくる!」


「待て待て、ドレスで走り回るな、おしとやかに歩いていけ」


「着いてこないのか!?エスコートしてくれないのか?」


「……確かにそうだが、俺にはお前よりも大切な女性がいるからな」


 そういうと納得したような、可笑しそうな顔をして


「なら、私は一人で言ってきますわ」


 と、おしとやか?な口調で口元に手を置いて微笑みながらそう言った。


「……違和感すげ〜」


 あいつがどこかへ行ったあと、適当な台に座り、ブラックジャックを楽しむこととしようか。


 じっと盤面に出たカードの数と全ての数字を頭の中にカウントしながら、次にくるカードを予想する。


 確率論だが、しっかりと頭の中に全部入っていれば勝率はグンと跳ね上がる。


「っし、これでブラックジャックだな」


 勝ちだ勝ち、けどここら辺でやめとこっと。

まぁまぁ増えたチップを換金してもらって……お?


「『チップで交換!豪華景品交換所』?」


 豪華景品って言ってもランクの低いものだとふつーにお土産用のお菓子とか……ばっか……り……!?


「あれは……!」


 ちょっと前にテレビで見かけた安眠セット!?

床で寝ても腰が痛くならないし、枕に顔を埋めても息がしやすくて、それでいて朝スッキリ起きられるとか言う……!?


「……換金は少し待とう、あれをアイビーへのお土産にするか!」


 部下のカーリャ達にはお菓子の詰め合わせとか……あの人は珍味で、他のみんなにも色々買って帰ってやろう。


 魔王様は何がいいかな?紅茶好きだしドライフルーツとかでいいかな?


 そうなると結構チップがいるなぁ……サクラにも何かやってやりたいし、シアにもお礼として何か。


 後はライトとラングの2人にも酒でも買って帰って……っは!こんな時のアイテムボックスか!


 なんて思いながら、チップを増やしていく。

辺りでは大勝を続ける俺の方を見て何かを噂しているがイカサマは特にしていないつもりだし、それに俺はまぁまぁ有名な方なんだし話題を攫うのは当然か、と自惚れていた。


 しかし、俺がここで遊んでいる時間は2〜3時間はたっているはず。


 サクラなら、すぐ飽きて上がってくると思っていたが意外とおそいな。


 まさか大敗しているんじゃないか?と思い俺も下へ行った。

そこには真っ赤なドレスに身を包んだサクラが俺を見るなり


「カルカトス!」


 そう言って手を振って笑っていた。


「なんだ?さく……おぉ!?」


 足元に山のように積み上がったチップ、観客席を軽く埋めていた。


「……もしかしてこれ勝ったのか?」


「んや?違うが?」


「ん?どういうことだ?」


「今これを全部かけているところだ」


「……はぁ!?」


 へ?何こいつ、もしかして


「お前ずっとオールインしてたのか?」


「おーるいん?なんの事だ?」


「あんちゃん、あの子のツレかい?」


 横から無精髭を生やした男がニヤリと笑いながら声をかけてくる。


「まぁ一応」


「あの嬢ちゃん、オールインの意味すら知らねぇ素人みたいだが、見る目はある、あの嬢ちゃんと同じ方にかけてるだけで俺も大勝してる、にわかには信じられんが、勝負運があるらしい」


 いやいやいや、嘘だろ?

俺はずっとチマチマかけて勝ったり負けたりをしていたのにこいつはこの間の時間ずっと勝ち続けていたわけか?


「赤の獣人と青の翼人、どっちにかけてるんだ?」


「翼人の方だな、明らかにあっちが強い」


 なるほど……確かに試合も有利に進んでいるが……これって確か戦う前は写真で判断する他ないよな?なんで写真から全部勝てるんだよ。


「俺はもう少し上で遊んでいるよ……そのチップ、後で圧縮してもらえ」


「……両替か!わかったぞ!」


 そう言って、また会場を眺めていた。



 天才って、本当になんでも出来るんだな。

その後は俺もぼちぼち勝って、欲しかった商品は全部手に入れた。


 サクラはと言うと、その後賭けを外して全部無くしてたが……あいつの初めのチップはせいぜい100枚程度、そんなに悔しがることはせずに、圧縮していた25000のチップだけは手元に置いておいたらしく、お土産を買っていた。


「サクラ」


「ん?どうひた?」


 イカ焼きを頬張るサクラ。


「これ、お前にやるよ」


 桜の花びらが中に入っているらしいお酒だ。


「ん!私へのプレゼントか!?」


「あぁまぁそんなところだ」


「ならこれは帰りの船で一緒に飲もう!ちょうど私は酒のアテを交換していたしな!」


 そういうことなら、そういうことにして帰りは楽しもうと約束して夕飯を食いに街を歩く。


「お前いか食った後によくそんなに食べれるなぁ」


「ドラゴンだからな」

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