表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
312/499

次代の勇者鬼才の英雄

「サクラ!俺たち『2人で』勝つぞ!」


 そう、念を押すと


「あぁ!わかっている!私とて言われずともそのつもりだったさ!」


 英雄竜の大剣を背から抜く。


「いきなり出るか?あの『二人の剣技』」


「ハルマ様?それはなんでしょうか?」


 そう師匠に問いかける。


「私に傷をつけた2人の技です」


「いったいどんなすごい魔法なんでしょうか!?」


 魔法?違う、これは俺たちだからできる。


「じゃ、行こうか」


 俺も英雄の直剣を抜く。


「スキル『神速』を行使する」


「『我は摘み取るもの』『終末論を綴るもの』『悪夢となり飲み込む』《限界突破(リミットブレイク)》」


「嵐を纏って!『聖剣テンペスト』行くよ!」


「ガンガンアゲていくぜぇ!?『聖剣ヴォルカン』!」


 嵐纏う翡翠の聖剣を握る風の勇者。

炎に身を包む赤の直剣と炎の勇者。


「3、2……ゴーだ」


 そう合図した瞬間、固有スキルで、今までの限界以上に鋭利ななった動体視力でも追えないほどの速度で、ファイロが弾け飛ばされた。


 遠くで上がる砂埃、断続的に響く地響き。考えたくもないが、サクラの桜乱撃おうらんげきとか言ってた攻撃か、喰らったらなんて考えたくもないな。


「行きますよ!カルカトス!」


「悪いが後だフロウ、白魔法!〈軽量化(クイック)〉!」


 そして、下からはぁ!


「白魔法!?バフ!?」


 自分にかけず敵にかけたことに驚きを隠せないようだが、更に驚いてもらう!


「俺の我流剣術の基礎!『切り上げ』!」


 何度もしてきた攻撃の要、これを受けちゃいけないのは俺を少し調べていれば余裕でわかるはずだ。


 だからそれを上手く受ける。軽くなった体でだ。


「っへ!?体が……浮いてっ!?」


 そのまま優しくフワッと上に上がっていく。

当分降りてこない、その間に、サクラの方へ行く。


「さ、く、ラァ!行くぞぉ!」


 ハウルを思いっきり投げつける。


「おう!わかっている!」


 体から蒸気を上げながら、サクラもまた英雄竜の大剣を投げつける。

俺たちの間にいるファイロはそれを避けなくちゃいけないよな。


 素晴らしい体感が支えるその回避行動に声が漏れそうだ、凄い才能と努力の回避だ。


 だが俺たちはそれも超える。


俺の方へ飛んで来た大剣、振るうのは生誕祭以来だが、簡単に扱える!


 そしてサクラが直剣と言うと少し違和感があるかもしれないが、こいつにとっては大剣なんて小さなもので直剣と大差ない。


 なんならこの大剣よりもよっぽど軽いから素早さに磨きがかかるかもしれないと考えると恐ろしい。


 まるでいつも大剣を握っている時と大差ないその直剣の動き。

そして、俺は直剣を握っている時の性格無比なミラン流剣術と打って変わって、我流の独特の荒削りな、しかし強力な剣が襲いかかる。


「おぉっ!!?なんだこりゃ!?わかんねぇ!?」


 そう言いながらも、体全体に身にまとった炎が勝手にファイロを守っている。


 これがこいつの聖剣の力なのだろうか?

オートガード?少々弱くはないかと思った瞬間に、その鎧がトゲになって俺の身体を貫く。


 サクラの方はあの硬すぎる鎧と、火竜の耐熱性が上手く炎を弾き返し、またもハウルを振るう。


 突き刺さった方の俺はと言うと、別に大したことは無い。

いつも俺の固有スキル《限界突破》は大したことの無いものと思われがちだが、それはいつも手加減をしていたからだ。


 別にふざけていたとかではない。

まず基本的にルール状人を殺してはならなかった。

そして、迷宮での戦いはいつも一度限りの戦いじゃない、次があった。

だからそのせいで、いつも力を抑えるくせがあった。


 でも今回は殺してもいい、戦った後に休みがある。

それに、この特殊なフィールドが貼られている間は中での死傷者は直ぐに外へ転移されるから大丈夫だ。


 なら俺を抑える枷はない、限界を突破したらそのままでぐんぐんと走っていける!


「なんであんたも炎が効かねぇんだよ!?」


「お前は火竜の炎を喰らったことがないからだ!サクラ!」


 そういうと、ニコニコといい笑顔で嬉しそうなサクラがハウルを投げる。

俺も大剣を投げ、ほんの一瞬、お互い武器を持たない時間がある。


 その瞬間に上手く逃げようとしたファイロだったが、狙いは確かに良かった。


 しかし、サクラは本物の天才だったことが不幸そのものだった。


 俺の体術をほんの少しだけ組手しただけで簡単に盗まれた。


 さっきとは違って完璧に同じ動きを2人同時に行い、襲う。


「ごへっ!?なんでガードをっ!?」


 これは嬉しい誤算、サクラの腕力が化け物すぎて貫通するらしい。


 そしてお互いに剣を交換し終えた瞬間に、俺の背中がごっそりと削られる感覚。


「フロウっ!!」


「空中にいるからって放置しないでくだいよね!」


 ずっとチャージしてきたのだろう、纏う嵐、しかも今回はそれにストックがある。


 おどろいた、あんなことができるようにもなっていたのか。


「サクラァ!フロウを頼んだ!」


 サクラと叫んだ時点で、彼女は察して、神速を使って飛んでいった。

そして言い終わる頃にはサクラがフロウをたたきおとす。


 あーあ、2人で勝とうって言ったのに、これじゃ一人一人の勝利を足して2人で勝つことになりそうだ。


「へへっ、あんた1人だけなら何とかなりそうだ、背中もフロウがえぐってくれたしな」


「こんなかすり傷、たちどころに癒えていくさ。

それにお前の炎は効かないけど俺の剣は確かに効いている。

安心しろ、お前が今から見るのはほんの悪夢だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ