平和宣言
「……皆、おはよう」
そう言って、彼女は少し高い台の上に立ち、この国の民に声をかける。
「……今日みんなに集まってもらったのは、四天王の一人、ミリアのことについてなのです……いえ、本人に出てきてもらった方が早いですね」
目に包帯を付けた……ミリア様。
『六罪』の皆様に生で繋いでいる。
「……どーもっ!四天王の『純愛』のミリアだよっ!」
グルグル巻の包帯の端がピシッとポーズをとった時に揺れる。
「この包帯なんだけど……実は私の目……見えなくなりました……!
でも!鼻があるから大丈夫!!」
そう言ってピースして元気を振りまく。
辺りはざわめきが一気に走る。
『六罪』の皆様も、同じく驚いている。
「……あ〜!私耳も今冴えてるから聞こえるよ〜!不安だよね〜、四天王続けられるかも、不安だよね」
その通りだ……そして私としては是非とも辞めないで頂きたい。
「ご安心を!私は辞めないよ!今のままでいるのをみんなが認めてくれるのなら、私はいつまでも四天王をやらせてもらうよ!」
「私は、続けていただいても構わないと思います……!」
私がそう声高らかに言うと、辺りの視線が一気にこちらへ向く。
『誰が言ったのか』その一点に皆、興味津々だ。
「……我も……賛成だ」
ペルソナ様も、1票。
「僕も、いいと思うよ」
エンブラー様も、
「なら、俺も……!」「私も!」
そんな感じで波が大きく……そして次第に満場一致で続けることとなった。
「……!みんなありがとう……!
私はこれからも頑張るから……よろしくね!」
歓声が上がる。
私も……これで計画を楽に進められるものです。
「……そして、ミリアの失明の原因は『聖魔法』にあります」
ざわめいていた辺りが、彼女の、魔王の一声で一気に静かになる。
「……恐らく人間側の仕業でしょう。
ですが……私は争う気はありません
ありがたいことにミリアも、私のそんな意見に賛成してくれています。
皆さんさえ良ければ……私が直接各国の王に直談判して、原因解明に努めます」
その発言に皆がざわめく……つまりこれは『魔王が孤立する』
「……護衛に幾人か連れて行っては?
それであればわれも構わない」
そういうペルソナ様……まさかペルソナ様……!?
「我に立候補させてくれ」
そういう事か……!?
「………分かりました、あなたであれば私も安心です」
そう言って決まった……まさかね……いや、本気か。
『魔王を仕留める』つもりか……!?
動揺する面々……いや、ただ1人、平生の冷静さを保っている。
『悪くない』そんな風に考えている男……『アングラ』様。
「……では、我は少し魔王城へ立ち寄るとしよう」
私の目を見た気がした……
「えぇ!ありがとうございますね、ペルソナ」
恐らく……疑いもしていない……これは……魔界側は勝ったのでは?
いや、さすがに早計であるのは自覚しているが……勝ちを確信しても構わないほどに……行ける気がする。
そして……ほぼ全員で彼女を襲撃し、倒すことに成功すれば……そしてそれは可能なはずだ。
願ってもない好機、これを物にし、ほぼ全員で勇者を減らしていけば……
ペルソナ様も大方そんなところだろう。
「……お料理よりは簡単そうで安心です」
料理本を閉じて、仲間たちへ……連絡を。
今年はこれが最後になりそうです。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます!これからもどうぞよろしくお願いします!
メリークリスマスand良いお年を
 




