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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄トハ、覚悟ト勇気ニ溢レル者ダ
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主人公になる為に【サクラ】

「……ん?アリー!」


 私サクラ グランド、今日も今日とて冒険者ギルドへ足を運ぶ。

今日は一人きりで、皆は休みだが私だけでギルドへ来ている。

パンフレットが目に入り、手に取る。その内容の詳しい話を聞くために、このギルドの受付嬢、アリーに声をかける。


「はーい?あ、サクラさん、おはようございます!」


「あぁ、おはよう、このパンフレットの『武闘祭』とはなんだ?こんなイベント聞いたことがないが……?」


 随分とデカデカと大きく主張するこの『武闘祭』の文字に目を引かれない方が不自然だ。

そして、不明点などございましたら受付まで、の言葉にしたがう。

無論、パンフの中身は見ていない、こういうのは聞いて確かめる。


「あぁ、それですか、今年は曲者くせもの揃いのミスリルランクの冒険者が一挙にその大会に参加します」


 その言葉に目を見開いた。


「なん……だと……!?」


 しかし、その反応は待っていたと言わんばかりにニヤリと笑う。


「そして!それが行われるのは近日制作中の『娯楽島』……名前はまだ決まっていませんが、その島の開演祝いに、そして……誰がいちばん強いのかが気になる人のために、魔界から、ソウルドから、ハリスから、インセントから、そしてネルカートから、ミスリルランクも、勇者さえも、みーんな……ね?」


 両手を広げながら話し、パンっと手を鳴らしながらにやりと笑いかける。


「……参加はいつから予約出来る?」


「今すぐにでも」


 無論、私だけでも出るつもりだ、名を紙に刻み、アリーに渡す。


「ふふっ、いい顔してますよ……応援してます」


「……くははっ……そうだ、迷宮に行こうと思う……サクラ グランドだ」


 ギルドカードを渡す。

手続きを終えてカードを返される。



「……くくっ……くははっ……あーっはっははっ!!」


 迷宮に入り、三十層の辺りで高笑いが溢れ出た。

大剣を握りしめる。

次こそは……私が最強の名をこの手に……!


『いい心がけですね』


「……っな!?誰だっ!?」


 辺りを見回す……誰もいない……?そんなはずは……!

確かに聞こえる声と……邪悪な雰囲気、そしてこの声には聞き覚えもある。


「五十層の守護者……?」


『あら、覚えてらしてでしたか……えぇ、私です、お久しぶりですねぇ』


「二度と会いたくはなかったがな」


『つれないですね、強くなりたくはありませんか?』


「強く……?お前何を企んでいる?」


『いえ?別に何も?ただ貴方に力を貸したいんです』


「罪滅ぼしのつもりか?」


 そう私が聞くと、吹き出して大笑い……腹を抱えている姿が瞼の裏で容易に想像できた。


『つっ、罪滅ぼし……っぷはっ!ないないなーい、ただただそれ私の仕事だからなんですよー』


 むっかっつくやつだ……だが、強いのは確か……故にもっと腹が立つ。

冒険者ゆえに命を落とすことは珍しくない……が、あんなにもバタバタと死んでいったのは難易度が高すぎるのだ……故にそんな難易度を象徴するこいつが、私は大っ嫌いだ。


「ナプラの件、忘れたとは言わせんぞ」


『覚えてますよ、超再生持ち対策の呪いの余波でキメラに手こずっていた人たちの1人ですよね』


 なんだその覚え方は……!


「……ちっ、それで?強くなる方法?って?」


 気にならないことは無い。

だが、ろくなものでは無いのが間違いない。


『聖魔法使えばいいんですよ、私のね』


「……はぁ?」


 何を言っているんだ?聖魔法なんて……特別な血筋でもない限りは無理に決まっている。


『あれ?あなた自分の血筋よくわかってないんですか!?もったいないですねぇ!でもご安心、私ができるといえば……それはもうできるんですよ』


 何を言っている?

聖魔法は元来聖女か、特別な血筋のエルフのみ、私は自分が純血のドラゴンだと、竜族であると、それは私の誇りであり、間違いない事実、故にそんな血は混じっていない。


『その血筋がすごくすごいんですよ?

まぁ、手をかざして、そして私の、いえ、聖魔法使いの初歩、聖光弾(ポープ・フォス)から、どうぞ

掌を前に向け、まるでその手の日から光が溢れ出るようなイメージで、ありったけ暖かくてありったけ眩しいその玉を放つのです』


 コツが随分具体的だ。

それに、なんだかできそうな気がする。


「……聖魔法……〈聖光弾(ポープ・フォス)〉」


 そう告げた瞬間、光の玉がパッと出たと思った瞬間、遠くの壁にヒビが入る。


「んなっ!?あんな所まで……いつの間に!?」


『驚くのはまだ早いですよ』


 そう、フレイが言った瞬間、クモの巣上にヒビは広がり、そして壁を崩壊させた。


「っな……!?はぁ!?」


『すごいでしょう?聖魔法』


「これは……あの人間の腕を吹き飛ばした魔法……!?」


『確かに同じ魔法ですね、私はもっと強い威力で放ちましたがね』


 これよりも強いのか……早い、そして燃費もいい、何よりも……体が熱くならない。


 以前、試験の際は作られたからだだったからブレスを吐けたが……体温上昇を恐れてなるべく使ってこなかった。


「……これは……これならいける」


『えぇ、魔力もMPも問題ありません……あなたが教えて欲しい魔法を、聖魔法なら教えてあげられますよ』


「本当か……?なら『…………』を教えてくれ」


 そういうと、返事が一瞬帰ってこなかった。


『い、意外ですね……ま、まぁ分かりました、ことその事に関してはほかの聖女でも横に立てないぐらいには強くしてあげます』


 心強い意気込みを聞き、彼女の指定した五十層で習得を進める。

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