エンと共に
「……よーし、それじゃ、行くぞ……!」
すー、はー、と深ーく深呼吸して心を落ち着けて石造りの門に足を踏み入れる。
門番の2人には銀色の枠の着いたギルドカードを見せて、2人が頷いたのを見てから中にはいる。
「楽しみだねー!カル」
「あぁ……楽しみだ!」
石造りの壁と床、誰が着けたは知らないが一定間隔にある松明……?
下に向く階段……ここからが、この迷宮の第1層だ。
「……さぁ、行こう」
前情報はいくつか手にしている。
1つ、現在踏破されたのは『25層まで』
1つ、10層ごとに『休憩ポイント』と呼ばれる何も無い空間がある。
1つ、1から10層は『罠や呪い、毒がある』
最後に『このダンジョンで命を落とした生物は皆魔石となる』人間なんかの外部者はこれにあてはまらない。
ダンジョンと言えば、昔の武器や古文書、その他もろもろの時代が錯誤した空間とも呼ばれている。
〈ネルカートのダンジョン第1層〉
「……早速お出ましだよ」
「……クドクガエルかな?」
紫っぽい肌に、いかにも毒々しい黒緑の線の入ったカエル。
サイズは……普通のカエルよりもふた周りほど大きい程度だ。
クドクというのは『苦しみ、死に至る毒』という所からが語源らしい。
「……だけど、比較的優しい相手だ」
「ん?そうなの?」
「あぁ、このカエルは自分の肌の下にその毒を持っているんだ
だから、体を斬らなければ毒を喰らわないし……それにただ皮膚に付くだけじゃ『苦毒』は効果がない、傷口なんかから入り込まない限りは、セーフだ」
「なら、上手くやらないとね」
「あぁ……頭を一刺し、それが一番だと俺は思うな」
「ひぇー……よし!頑張れ!」
ふーっ、と息を吐き、頭に狙いを定め、刺す。
「よし、ここ引き抜くと返り血浴びることになるから消えるまで待とう……よし、消えた消えた」
光に包まれ、そして、コロンと小さな魔石が落ちる。
「下級魔石……第10階級ともいうかな?」
いわゆる雑魚と呼ばれるものだ、売っても雀の涙程度だが……今の俺には大粒の涙だ。
「第10階級?」
「魔石の質を分ける、いわゆるランク付けだな」
「へぇー?これいくらぐらいするの?」
「……1銀貨」
「……あ、なるほどね」
少しばかり空気が重くなった気がする……が、先に進めばもう少し高等なものが出るはずだ。
「次に……行こっか」
「そうだね」
てくてくと第2層へ足を踏み入れる。
【魔石】
大きくわけて10個の階級に別れている。
数字が少なくなればなるほど、希少性、価値は上がる。
稀に、極限まで純度の高い『輝石』が生まれる。




