討伐完了【カルカトス】
「……まぁつまり、今回のことは高く評価される、ってところだ」
ギルシュさんが長々と難しいことを一纏めにして言ってくれる。
各パーティーのリーダーだけがギルドマスターの部屋に赴き、机を挟んで話し合う。
「今回の出来事を沈めた君たちは冒険者としてネルカートから高い評価がある、表彰式もあるかもしれないよ、そして、ピュー フォルテ、君はまだまだ評価をあげるつもりかい……」
今、俺の隣には最強の冒険者が座っている。
土の勇者、ピュー フォルテその人だ。
「あははっ、勇者として当然のことをしたまでですよ」
優しい笑顔だ、しかし間違いなくこの中で一番強い。
「カルカトス君、サクラさん、フロウさん、あなた達も素晴らしい活躍でしたよ」
「アイビーのおかげです」
膝の上に乗せて、安定してきた体調に安堵の息が漏れた。
「だな……次の主人公は……次こそは私だ……!!」
拳を握り不敵に笑う。
「……私も勇者としてもっと強くならないと」
今回はフロウにかなり助けられた。
「……で、東の大陸の方に、もう一体の守護者が、そしてそれは四天王のラジアンさんが倒してくれた」
「……あれ?最後の一体は?」
「そう、それが未だに分からない。
フォルテが見つけたのは焼けた跡だけで何も見当たらないんだ」
「相打ち?」
フロウがらそう言った。
しかし違うと、俺は声を出した。
「相打ちなら少なくとも輝石が落ちているはずだ」
「あっ、確かに……ってことはまだ生きてる!?」
「……そういうことだね……まさかしくじるとは……」
自分がいながらと言った感じた、フォルテさんができることはたしかに幅広いが、それよりも迷宮が広すぎる。
「……さ、最後の一体のことなら……心配いらないよ……!!」
ギルドマスターの部屋に、倒れるように扉を開く男が。
「っ!?アーガンさん!?」
ボロっぼろだ。
焼けた服や焦げた肉。
「ははっ、やぁみんな……一体は僕が仕留めたよ……!」
赤い輝石を見せつける……間違いなく、そうだ。
「ひ、1人で倒したのか!?」
サクラがガタッと椅子を鳴らして立ち上がる。
「固有スキル、ゲットしたよ……僕も……強いんだ……!」
そういうと、分身がドアの影で倒れているのを見た。
「自分に運んでもらったんだ……死んでもすぐに作り直せるから、大丈夫」
光の粒になって消えていく……凄い、厄介極まりない。
「……つ、つまりこれで六十層の守護者は全員倒したわけだ……」
ギルシュさんも、驚いた顔、そして、安堵して笑っていた。
「何かあったらこちらから呼ばせてもらうよ」そうギルシュさんが言ったことで、お開きとなった。
「……なぁ人間よ」
バカドラが声をかけてくる。
「ん?なんだ?」
そう言って振り返るが、こいつの視線の先は、俺が背負っているアイビーの方だ。
「こいつとは義理の兄妹だと、話に聞いた……」
「あぁ、そう言えばそんな風に説明してたな」
「しかし、他人とは思えないほどに似ているな、体格も瞳も、髪の色も、何から何まで……それに、あの、魔法の名は……聞き覚えがある」
「……俺を通して聞こえてたのか?」
「『悪夢魔術』それはお前の魔法だろう?」
そう、俺も気になっていたところだった。
なぜこの魔法を持っているのか……なぜあんなにも強いのか、どうしてあそこまでの呪いにかかっていたのか。
「俺もそうだと思ってたが、意外と色んなやつが持ってるのかもな」
そんなわけは無いと、心の中で否定しつつも、そうはぐらかす。
「……まぁ、なんだって構わん、今回もまた脇役止まり……次は私が主役なんだ、忘れるなよ?」
ニヤリと笑う。
「あぁ、忘れないとも」
ニヤリと笑う。
その後道を別れ、各々家へ帰る。
「……さて、早く起きるといいな」
傷は何一つない。
バカドラのやつも、流石ドラゴン、傷がたちどころに治っていき、俺の魔法もまた回復に拍車をかけた。
それでも目を覚まさないのは少し不安だが、きっとすぐに目を覚ますだろう。




