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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄トハ、覚悟ト勇気ニ溢レル者ダ
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権限持ち【カルカトス】

「……フロウ、ソラさん、バカドラ、ラング、ライトさん、そして、アイビー」


「はい……!」


 落ち着いている?いい顔をするようになったフロウ。


「はっい!」


 緊張してるな……だが、もう守護者にはしてやられる訳には行かない、とソラさん。


「ついには貴様略し初めたなァ!?」


 炎が吐けるなら吐いてそうな勢いで詰め寄るバカドラ。


「やーめーろ!喧嘩すんな」


 たしなめるラング。


「……はぁー、気合い入れないと……」


 仲間の喧嘩を気にしていられないライトさん。


「カルさん?どうしたんですか?」


 続きを待つアイビー、流石は俺よりランクが上だっただけはあり、落ち着いている。


 コンディションは抜群、後はフォルテさんまで来てくれれば完璧だ。


「ンンー!イイ顔ぶれだネ、英雄たチヨ!」


 楽器キメラがそう言って笑う。

楽器の音が聞こえてくる。これが笑い声?


「自己紹介をシヨウカ!我が名ハ『ウェギュル サーラー』とある勇者を支エルその柱、君たち英雄ニ、試練を与えるモノナり」


 ジャーンと、始まりだと言わんばかりに音が鳴る。

そして、59層と60層を繋ぐ階段に五線譜のように線が引かれ、まるであれは……牧場の柵?


「閉じ込めたわけか?」


 サクラがそう尋ねる。


「まぁネ、そして、増援と退避を許サなイノさ、本来、階の破壊や、行き来の制限かラ何マで、管理階層内であれば手足のように操レる、あノ性悪聖女がよくモマァこの権限ヲ使わなかっタヨね」


 それを使われたら確かにもっと厄介だ、ただ、大半は五十層より下にいたから使わなかっただけかもしれない。


「マ、早く初めヨウカ、我々の仲間は既に一人、外へ出タ」


 はったりか、それとも本当なのか、確かめるためにも、やはり


「早く終わらせよう、カル」


 そう、その通りだフロウ


「むっ……か、カルさん、私も頑張ります!」


 ど、どうした?アイビー……まぁ


「あぁ、頑張ろうな」


 生きて帰れれば十分だ。


「この中で回復が得意なのは?」


 そういうと、ソラさんだけが手を挙げた。

他の奴らはそっぽを向いた。


「……まじか、まずいな」


 持久戦は不利かァ……

そんな風に悩んでいる俺たちを見て嬉しそうに音が響く。そして、言葉を紡ぎ始めた。


「『音ガセカイを駆けヌケル』」


 聞き覚えのある言葉。

いや、聞き覚えのある音だ。


「『セカイの平和は君の背ニ』『カカル疲労とアツを』『心休まり勇気ヅク』『今このときヨり』」


 段々と聞き取りやすくなっていく。


「『音が世界を駆け抜けた』《合成音声(ハイブリッドサウンド)》」


 ジャーンと、また開演の音が響く。


「さぁ、始めようか、私は強いぞ、英雄の子達よ」


 だろうな、しかしたじろいでいられない。


「行くぞッ!バカドラ、フロウ、ラング、そして、アイビー!!」


 前衛を務めてくれる皆に声を掛ける。

バカドラも、今は文句を言わずに、俺の言葉に従う。


「私のやり方で行かせてもらう」


 剣を握る……つまり、人のまま戦うというのか?


「『活路は前に!』『世界の夜明けを迎える者は!』『その資格に勇気を求めた!』《勇敢な者(ブレイバー)》」


 俺もこいつもよくわかっていない。

何でもかんでもぶち抜ける固有スキルらしい。

俺と似た者を感じるが、こんなやつと一緒にはされたくない。


「『俺は摘み取るもの』『終末論を綴るもの』『悪夢となり飲み込む』《限界突破(リミットブレイク)》」


 剣を強くより強く握る。


「えっ!?」


 アイビーが驚いている?

……あぁ、固有スキルを見せるのは初めてか。


「行くぞ!人間!」


「あぁ!遅れるなよ!バカドラ!」


 地面を同時に強くふむ。

かけっこなら、同じぐらいらしい。

その後ろをフロウ、ラング、少し遅れてアイビー。


 フロウは聖剣を抜き、魔力をためる。

ラングは狙いをすましている。

アイビーは驚いた口が塞がっていないのが仮面越しにわかる。


「〈始まり(アンファング)〉」


 ジャーンと、シンバルの音が華やかに始まりを飾る。

盛り上がりに加速を、打楽器の重低音が響き始める。


 そして、その音の衝撃は、てっきりナルヴァーのような、音に魔力を込めるものとばかり思っていた。


 しかし、外傷は何も無い。

斬撃も打撃も、どんな一撃だって存在しない。


 『盛り上がっていくタイプ』尻上がりな能力と即座に考察し、バカドラの方をむく。

目が合うと『当然わかっている』と言わんばかりに加速して、剣を振るう。

急いで追いつき、同時に、斬りかかる。


 そして、攻撃が外れた。


「「っな!?」」


 避けられたのではなく、外れた。


「……ふふっ、盛り上げていこう!」


 俺もこいつも考察を改めた。

『状態異常系』だと、理解した。


 まずいな、じわじわやられるのはキツい。

こんな初期段階で平衡感覚を無くしてしまっている。


「おい!人間!」


「あぁ!わかっている!」


 そう言った瞬間、3人の影も横に並んだ。

矢をつがえる音も聞こえてくる。


 弓術を食ってなければ俺も後方支援に回りたいほどに後ろが手薄だ。


 しかし、それでもやるしかない。

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