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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄トハ、覚悟ト勇気ニ溢レル者ダ
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最強の冒険者【カノ】

「……っふ〜、見つけた」


 そんな間延びした声が後ろから聞こえる。

目の前にたっている二股の蛇を背中から生やした敵は、その声の主を見て冷や汗をかいている。


「……えぇ〜、なんで俺の相手だけこうもヤバいやつなのかいね?」


 その言葉に呼応して振り向く。


「……あ『ピュー フォルテ』さん」


 そこに居たのは最強の冒険者。

ステータスを覗こうとするだけで頭の痛くなる、圧倒的な強さ。

きっと頭痛の理由は情報量の多さから来るものだろう。


 それにしてもここは42層、もう見つけてきたのか!?


「さて、これがこの迷宮の守護者かな?」


 二股を指さしてそう聞いてくる。

今回が初めての今日だから、俺の固有スキルでまだ今日を生きたことは無いからこの先がどうなっているのかは知らない。

ならば、もし叶うのならば、最強の強さを見てみたい。


「……はい、あの二股が、相手です」


「ひぇー、シー、スー、やるぜ」


 あの蛇の名前はシー、スーというらしい。

指示に従い、真っ直ぐピュー フォルテに噛み付く。


 彼が最強と呼ばれる所以、たくさんの魔宝具?卓越した剣技?圧倒的な魔力?それともその知識量?その全て?


 分からなかったその疑問に答えてくれた。


「おぉ、早いな」


 『べコン』と地面をへこまし宙に舞う。

一撃目を避けられた蛇は、2匹目が宙のフォルテさんを追い詰める。

また音が鳴って、空中で曲がる。

見事に躱した。

そして、手のひらを二股に向ける。


「〈土魔法〉【土石弾(アースバレット)】」


 ただの一般的な土魔法。

多分俺にも使える程度の魔法。

だが、二股は膝をつき、倒れている。


 一般的な土魔法とは、自然魔法の派生先、土石弾は岩石を作り出し、それを高速で相手に飛ばす魔法。


 しかし、フォルテの魔法は、岩石の弾が見えなかった。

断言しよう、俺の動体視力が悪いわけじゃない。

この目の前にいる二股は俺よりかは強いから、そんなアイツが避けられなかった、見えなかったのなら、何カトリックがあるはずだ。


「なるほど……あんた本当の化け物だな、こんな技術、とうの昔に滅んだと思ってたよ」


「あぁ、5000年前の化石さ」


「……あんた、勇者だろ」


「あぁ、土の勇者さ」


 フォルテさんは勇者だったのか、ならあの腰の剣も聖剣というわけか?


「ははっ、こりゃ俺の負けだ……勝てるわけねぇだろ、本気ならまだしも、こんな状態で勝てるわけねぇ……!」


 そう言って、地面に倒れ伏して綺麗な乳白色の石を残した。これが輝石か?


「異界の勇者、カノ ユウジさん、済まないね、横取りしてしまった」


 申し訳なさそうにそういう。


「最強の強さ、見せてもらいました……分からなかったけれど」


「ははっ、だってあんなの化石みたいなもの、知ってるだけで拍手だよ」


 ぱちぱちと手を鳴らしながらそう言う。


「輝石は……俺が貰ってもいいよね?」


「えぇ、あなたのものですよ、フォルテさん」


 ニコリと笑うと、また走って消えていった。


「カノ様……あの方が何をしたのかわかりましたか?」


「いいや?みんなはわかったの?」


「んや、よぉわからんのぉ、はて、何をしたのやら……」


 皆唸るばかりで答えは出なかった。

もう帰ろう、やることは終わった。

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