集え英雄
「……ネルカートの諸君!オハヨウ!!」
楽器の奏でる騒音が街に早朝から響く。
「我々は迷宮の守護者!!
我々は迷宮の中に英雄を求めル!!
来たれ英雄!集エ英雄!さもなくば、ネルカートは我々の手に落ちる!」
その自信満々の犯行声明。
聞き覚えがあるのは俺とアイビー。
早朝から準備を終え、朝早くから人がいっぱいのギルドの人々をおしのけ、アリーさんに短く告げて、迷宮へ走る。
「……おい人間!」
迷宮の前で待っていたらしい、サクラのやつが立っていた。
「なんだ?」
「この話はある程度聞いた。
昨日にもうある程度情報が出ていたからな、炎のやつは私に任せろ、耐火なら私の右に出る者はいない」
「私達も戦いに行くつもりだったんだけどなぁ……いてもいい感じ?」
フロウさんも前にいた。
「僕達も、一度見逃してしまった、行かせてもらう」
カノさん達もやってきた。
「……1つのパーティーで1人の守護者を、上の階の奴は余裕があったら下のやつを助けに来て、無ければ転移を使って急いで上に上がって回復、いいな?」
この国家転覆発言のせいで町は総出で動いている。
様々な冒険者たちがもう中に入ってきている。
魔界と人間界の友好関係を気づくための土地開発のせいで、冒険者は数が少ない。
「……俺も参加しちゃおうか?」
その声に、迷宮前に集まっていた冒険者たちの声が静まった。
今の時代、その声に聞き覚えがない人間なんていない。
「ぴ、ピュー フォルテ……!!?」
サクラが嬉しそうな、驚いたような顔で見つめる。
「あぁ、その通りだ……流石にこんなことをほったらかしには出来ないよね、俺一人だけだが……やらせてもらおう」
歓声が上がる。
これなら勝てると、一体何を心配すればいいのだろうかと。
最凶の冒険者、その彼がここにいるのだ。
1部の隙もない立ち姿、無駄の無い装備、持つアイテムが霞むほど、しかし確かに最高級の魔法具たち。
「なぁ、バカドラ」
「……なんだアホ人間」
「……見れるぞ、生で」
「……あぁ!」
俺たちふたりはいつもの中の悪いふたりじゃない、同じ英雄に心奪われる、ただのファンだ。
「行こうか、私は迷宮に入るのは初めてでね、六十層で待っていてくれ、すぐに向かう」
『俺に触ってさえくれれば一緒に行けますよ』
そう説明しようと思ったが、彼は既に走り出していた。
露払いと言わんばかりに、敵を切り刻み、どんどん下へ行くのがわかる。
「……さ、サクラ、ラング、ライトさん、アイビー、フロウさんたちも、行きましょっか……」
「……お、おう」
その強さにドン引きしていて返事ができたのはサクラだけだった。
身体が光に包まれ、六十層の街に降り立つ。
「来たか!冒険者達ヨ!ヤロウ!全力で!」
声を奏でる守護者は笑う。
使い所に迷う最強のカードを使いましょうか




