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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄トハ、覚悟ト勇気ニ溢レル者ダ
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昇格戦

「……って訳です、六十層の守護者は無差別に各階層に現れて攻撃を開始するようです」


「……なるほどね、ゴールドランク以下は入るのを控えてもらおうか……っと、君もゴールドランクじゃなかったね……そろそろ貰えるだろうに」


 ギルシュさんに報告をする。

少しもったいなさそうな顔で笑う。


「あははっ、ずっと迷宮にいてそもそもそんなに人と会うことがなくって」


「そうだったのか、だが、いい知らせがある」


 3枚の封筒を渡してくれた。


「まさかこれって……」


「あぁ、推薦書だ、ギルドの職員の方二名と、あと、シュプ フングという魔法生物学者の方が推薦書を書いてくれた」


 シュプ フング!?


「っえ?……あ、ありがとうございます」


「あぁ、今から試験受けるか?」


「ちなみに内容って?」


「ゴールドランクの冒険者と模擬戦をしてもらう。

今空いている人なら……うぅーん……」


 そう言って目を瞑ると、ニヤリと笑ってこちらを向く。


「いい人がいた、その人のところに行くといい」


 そういうと、立ち上がりついてこいと目で示す。

アイビーは俺の一歩後ろを着いてくる。


 訓練所に行くと、ギルシュさんが誰かに声をかける。


「……ギルシュさんか、どうしたんだ?」


 この声は……


「バカドラゴン……?」


「に、人間……?」


 『なぜお前がここに?』と言った顔。


「……いやぁ、この人のゴールドランク昇格の為に、模擬戦をしてやってくれないか?」


「お、カルカトスじゃん、お久〜」


「おぉ、ラングか、久しぶり、ライトさんも久しぶりです」


「あぁ、お久しぶりです」


「どうだ?やってくれるかい?」


「……まぁ、仕方がないな、やってやろうか」



 訓練場の真ん中に立つ。


「今日はあの日のマジックアイテムはない、負けを認めるか、気絶した方の負けだ」


「おす」


「わかった」


「勝負……初めっ!」


 人型のサクラ。

人のまま、尾とバカでかい大剣を使う。

火を吐くのは苦手らしいから、近距離を考えよう。


「行くぞ!人間!」


 飛び上がり、尾の攻撃、地面を打ち、砂埃をあげる。

その砂埃を引き裂きながら、目の前に現れる大剣。


 当たれば死ぬが、避けられる。

というか、殺す気じゃねえか?こいつ


 状態を逸らした回避行動。

その俺の胸に尾を縦に振り、叩きつけようとする。


 無理な体制からガードができない。


「どうする!?人間!」


「《悪夢魔術(ナイトメアマジック)》!」


 我ながら器用に靴を脱ぎ、俺の新しい足で止める。


「と、鳥の足ィ?」


 心底分からないと言った顔だが、


「食らって驚け」


 そう言って、蹴りを放つ。

言われた通り、防御を固め、食らおうとするサクラ。


「っごはっ!?」


 一撃の蹴り、胴体を吹き飛ばすような本気の蹴り。

そのまま蹴り飛ばすなんて優しいことはしない。


 足でつかみ、地面に倒して固定し、剣を突き刺しにかかる。


「これは驚かされたな」


 余裕綽々、背中から羽を生やし、この訓練所の天井までとびあがる。


 俺がぶらさがっていながらだ。


「舐めるなよ、竜を、ドラゴンの『魔法』を!〈大竜火炎(ドラゴニックフレイム)〉!」


 封じられた両掌から、2匹の巨大な竜を作り出す。

よく知る〈大龍炎(ドラゴンズフレイム)〉とは違い、サクラと同じような2匹の火竜が暴れ回る。


「くそっ!」


 離さない訳には行かない。俺が丸焦げになる。


 地面に降り立ち、速攻で見上げる


「?どうした?飛ばないのか?」


「羽は作らないさ」


「なら、どうする?」


 『どうする?』


「『呪術』さ〈過重力(オーバーグラビティ)〉!」


「っなっ!?」


「降りてこい!」


「あぁ!やってやる!」


 大剣が来る。

慣れていない呪術はここまで、ハウルを抜き、受ける。


 なんて重い一撃だ。

受け流し、蹴りを入れる。

しかしとてつもなく硬い。


「どうする!?」


「さぁな!」


 距離を詰め、剣を振るう。


「そして離すんだろう!?」


 手を離した瞬間、尻尾が剣を遠くへ弾き飛ばす。


「あぁ!そうさ!」


 その瞬間、俺は絡みつき、首を締め付ける。


「っ!貴様っ!」


 手をつかもうとされた瞬間、するりと抜け出し、体勢を崩し地面に投げ付ける。


「はぁ……はぁ……どうだ!?」


「っは……っは……まだまだぁ!」


「そこまで!もうこれ以上はやめておこう。

2人とも強いね、いい勝負だったよ」


 ギルシュさんがとめる。


「おめでとう、合格だ、君をゴールドランクの冒険者だと認めよう」


 昇格祝いにラングたちと酒を飲んだ。

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