格上
「……筆記100点、実技100点、アンデッドの希少種『リッチロード』」
ロードは統べるもの、リッチを統べるものってことかな?
「……失礼、いるか?」
扉をノックする。
生後1ヶ月と短い期間ではあるが、その実力や記憶は世代を超え継承されているらしい。
「……あぁ、はい」
扉を開き、中からは骸骨が出てくる。
真昼間からこんな髑髏と顔を合わせるとは……顔写真がなければびっくりしていただろう。
ボロボロのローブは初期衣装なのかな?
「どうも、四天王のカルカトスです、昨日お配りした紙の通り面接に来ました」
「あぁ、あなたがあの……ふむ、どうぞ中へ」
中へ案内される。
まぁまぁいい家だ、一般人でも住めそうな程に。
「お茶を淹れますね」
「あぁ、ありがとう」
アンデッドに茶を淹れてもらえるとは。
「どうぞ」
普通の紅茶だな。
「それで?1つ、やる気はあるか?」
「無論、魔王様にお仕えできるのであれば、この身捧げる次第です」
捧げる身はなさそうだな……と思いながら茶を口に含む。
ギャグのつもりなのかな?
「そうか、戦いは?何が出来る?」
「魔法から近接戦闘まで」
「!近接もか?」
「えぇ、このカマで」
くたびれた黒ローブの中から、そんなにでかいカマは入らないはずなのに、ぬっと出てきた。
「……なぁ、なんで入れなかったんだ?お前なら落ちることないと思うんだが」
そもそも、満点なのはこいつだけ、ラジアンの所なら受け入れるだろうに。
名前の所が空欄なせいでこいつとしか呼べない。
「ラジアン様には『あぁ、こっちはいっぱいだからなぁ』とナルヴァー様は『コンセプトにあってない』ミリア様は『血がないからやだ』と皆々様に断られました……」
落ち込まないでくれよ……
「そ、そうか、まぁ俺のところで良かったら受け入れるぞ?」
「!本当ですか!?」
「まぁな、面接もそのためだし」
「ありがとうございます、カルカトス様の元で粉骨砕身の精神で精進させていただきます!」
それはお前にとっては重症ではないだろうか?
「あぁ、程々にな……っと、話は変わるが、お前相当強いだろ?」
そう問いかけると、平然とした顔でこう答えた。
「えぇ、まぁラジアン様やあなたよりかは強いですかね?」
その発言……本当だと疑うのを頭の中から無意識に辞めてしまうほどにうなずけた。
「まぁ……何となく察していた」
「代々、我々リッチは森の中でやかましいミノタウロスを旗印にひっそりと暮らしていました。
リッチロードともなれば魔界の森ほど居心地いいところは無いのです。
私はあの森を形成している魔界の王に恩返しがしたくて、先祖分も頑張るぞ、と息巻いて来たのですが、四天王はいっぱいで入る隙間もない……誠に残念な限りでした」
まぁ、強いしすぐにでもなれるだろうな
「俺が死んだら代わりに頼むな」
「あなたが死んだら、また私の死霊魔術でお会いしましょうね」
「そういうのもできるんだ」
「えぇ、私は統べるものなのですから」
死後も魂を拘束できるのか……絵本の中の死神みたいなやつだ、カマ持ってるし。
「ま、またよろしく頼むよ」
「えぇ、またお呼びください」




